2025年5月15日 第662号
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院内集会で講演する東京大学大学院の祐成保志准教授 |
国民の住まいを守る全国連絡会など住宅3団体による院内集会「高齢者、単身者、若者の居住保障を考える―家賃補助、公営住宅、マンション居住」が4月11日の午前11時30分から衆議院第2議員会館で開催された。
住まい連代表幹事の坂庭国晴氏が主催者挨拶を行い、立憲・共産・れいわ・社民の5人の国会議員が集会に連帯する挨拶を行った。
次に、東京大学大学院准教授の祐成保志氏が「高齢化、単身化と居住支援」と題して基調講演を行った。我が国の社会保障としての住宅政策の関係は極めて希薄であり、2020年度、OECD加盟国の中で政策分野別の住宅の支出がイギリス・ニュージーランドの10分の1以下と低い。2000年代に入り、2001年に高齢者の居住安定確保に関する法律が制定され、2000年の介護保険制度により、高齢者向けの住まいの整備の遅れが問題となり、高齢者住まい法が2009年に改正され、サービス付き高齢者向けの住宅制度が設けられた。低所得の単身高齢者が大幅に増加する見通しの中で、軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保が重要な課題になっていく。そのための包括的な居住支援(住宅の確保から日常生活の支援、退去時の支援)など居住支援サービスを行うのが居住支援法人だが、居住支援サービスが利益を生む可能性は低い。介護の社会化がある程度達成した日本社会は、現在「居住支援の社会化」という課題に直面している。現状住宅手当(公的家賃補助)は極めて限定的で、家主や支援団体への補助金も微弱である。住宅政策から居住支援政策に転換するためには国民の幅広いコンセンサスが必要であると指摘した。
各住宅団体から4名の発言があり、全借連の細谷紫朗事務局長は今年2月17日から実施した「賃借人の住まいの実態調査」の結果について報告した。実態調査では住宅の面積や収入に占める家賃の割合、家賃債務保証会社との契約の有無、住まいに困っていること等の回答者の切実な声や要望が報告された。
東借連が参加する東京住宅運動会は、昨年10月に東京都住宅政策本部に対して2025年度予算要求書を提出し、今年2月5日に都庁で回答書に対する各団体の再質問の回答があった。
1、都営住宅の新規建設
既存ストックを有効活用し、引き続き住宅セーフティネットとしての機能を果たしていく。
2、最低居住水準未満の解消
子育てに配慮し、バリアフリー化につとめ、良質な住宅の供給の施策をすすめていきたい。
3、セーフティネット登録住宅制度の改善と専用住宅の供給促進
居住支援法人による(要配慮者に対する)サブリース方式による賃貸住宅の供給と定期的な見守りに対する補助事業を行っていく。
4、家賃補助制度の創設
家賃補助制度については、対象世帯の範囲、財政負担、民間家賃への影響、生活保護との関係等多くの課題があり、国の委員会でも民間家賃の高騰を招く等の指摘がされている。その他も同様で、都の住宅困窮者対策は、全く消極的で、住宅無策を続けている。
神奈川県内に賃貸物件を借りていた加部さん(仮名)は、2024年12月に完成したテラスハウスに入居し2025年3月に退去した。
その際、家主よりテラスの窓枠に開けたカーテンレール用のネジ穴が無断造作であり、原状回復の対象だとして費用を請求された。
納得がいかないと組合に電話相談をしてきた。
相談にあたってどのような経緯なのか聞いたが詳しい説明は聞き取れなかった。
ただカーテンレールが設置されていなかったので設置したら問題となり退去に至って原状回復費用を請求されたようだ。
加部さんは必要不可欠のものなので設置しても文句を言われる筋合いはなく、原状回復義務はないと考えているようだ。
しかし、国土交通省のガイドラインでは故意、過失、善管注意義務違反、その他通常を超えた使用による汚損は原状回復義務を負うとある。
今回のケースは造作により穴を開けておりそれを原状回復せずに退去しているので当然ながら加部さんが原状回復義務を負うことになると説明したが、国土交通省のガイドラインでは原状回復義務はないと読み取れると主張し組合は間違っているとの一点張りで入会する意思もなく相談は終了した。