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2022年5月15日 第644号

住居確保給付金の現状と課題 厚労省生活困窮者支援のあり方検討会 家賃補助施策の検討を コロナ禍で住宅困窮者の裾野が拡大

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、休業やシフト減・雇止め等による経済的な困窮と社会的な孤立等によって生活に困窮する人が様々な階層で広がっている。厚生労働省では、昨年10月から生活困窮者自立支援制度の在り方について特別部会とワーキンググループを設置して検討会を開始している。この中ではコロナ禍で、家賃の支払いに困り住居の喪失の恐れのある人に給付される「住居確保給付金」の在り方も議論されている。
 同給付金の対象者が①離職・廃業後2年以内の者に加え、②給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由によらないで減少し、離職や廃業と同程度の状況にある者に拡大され、支給決定件数が令和2年度に一挙に約34倍に拡大した。支給期間は令和2年度に申請を行い、支給が開始された者については最長12カ月まで再々延長を可能とする特例措置が講じられた。令和2年度の受給者のうち「離職・廃業等」の者が常用就職した割合は33・2%、「休業等」の者が就業機会が回復した割合は10・5%、就業機会が回復できなかった割合が89・5%と高い。
 住居確保給付金について、自治体から共通して「就労を目的とした家賃補助とそうでない家賃補助との棲み分けが必要」との意見が上がっている。検討会の中では「住居確保給付金についても、コロナ禍にあって一定の役割を果たしてきたが、住まいを喪失する恐れのある人の多さが顕在化した以上、家賃補助的な施策を含め、このようなリスクについて普遍的な社会保障施策として検討する必要があるのではないか」という意見が上がっている。


ウクライナ侵略をやめ、国連憲章を守ることを求める特別決議(全文)

 プーチン大統領によるウクライナ侵略から1カ月以上が経過し、子どもを含む多くの市民が殺され、ウクライナが奪回した首都キーウ(キエフ)周辺の住民が無差別に殺害され、沢山の遺体が路上に放置されるという報道もあり、深刻な人権侵害が起きています。
 今回の行動は国連加盟国の主権、独立、領土保全の尊重、武力の威嚇禁止を明記した国連憲章と国際法の明確な違反であり、病院を無差別に攻撃し、原発までも攻撃したことはジュネーブ条約をはじめとする国際人権法違反の戦争犯罪であり、私たち国民の住まいと人権を守る団体として厳しくプーチンとロシア政府に抗議するものです。
 停戦交渉が行われている一方で、ロシア軍が攻撃を続け、停戦交渉を有利に進めようと画策しています。すでに400万人以上のウクライナ人が国外からの避難を余儀なくされ、住まいも生活物資も全てを失っている状態で、プーチン大統領はウクライナから一日も早く軍隊を撤退し、無益な侵略行為をやめることを要求します。日本においても第2次世界大戦後に空襲による消失や強制疎開による取り壊し等によって420万戸の住宅が不足し、1200万以上の人が住まいを失う状態が起きました。ウクライナにおいても戦争終結後には、同じような住宅不足と住宅問題が発生することを危惧します。
 日本国内では、ウクライナ危機に乗じて「憲法9条では国を守れない」「日本も核を共有すべき」などの意見が自民党や維新の会の議員から出ていますが、プーチンのような指導者が出てきたら「核抑止力論」では国を守れないことは明らかです。ロシア非難決議が可決した国連総会特別会合の討論でオーストリアの国連大使は「明らかに安全保障上の懸念があるのなら、戦車ではなく、対話で解決すべきである。最大級の軍隊と核兵器を持つ国が不安を感じるなら、他国に対して武力に訴えるのではなく、協力と対話と軍縮を求めるべきである」と発言。コスタリカの国連大使は「核保有国に対し、核軍縮を誠実に追及するという核不拡散条約義務を順守し、核兵器の開発、保有、使用の威嚇及び使用を禁止し、検証可能な核の枠組みを含む核兵器禁止条約に参加するようすべての国に要請する」と発言し、私たちは両国の発言に全面的賛成です。憲法9条を持ち、唯一の被爆国の日本が平和主義の立場に立ち、核兵器禁止条約に参加し、国連憲章を守り、ウクライナの平和の実現と人道支援の強化を強く求めます。ウクライナに1日も早く平和が訪れることを祈念します。

 2022年4月5日

全借連三役一同