東京借地借家人新聞 top トップへ 前のページへ

2020年5月15日 第632号

都営住宅の建設21年連続ゼロ
東京都が2020年度住宅要求に回答
底地の買取り 迷惑な勧誘行為は違法
更新手数料は宅建業法外で指導できない

東京都への住宅要求を説明する細谷会長(写真左から2人目)
東京都への住宅要求を説明する細谷会長
(写真左から2人目)

 東京住宅運動連絡会が昨年10月に東京都住宅政策本部に提出した「2020年度東京都予算等に関する要求書」に対する回答が3月にあった。回答を受けて行われる予定だった懇談はコロナウイルスの影響で中止となった。都側への要求と回答は以下の通り。
(要求)都営住宅の新規建設ゼロ計画を改め、都営住宅新規建設で供給戸数を増やして。
(回答)都営住宅について、既存ストックの有効活用を図りながら、管理戸数を抑制しつつ、住宅セーフティネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組む。
(要求)新たな住宅セーフティネットがスタートしたが登録が進んでいない。都の補助金の増額等の抜本的対策を講じて。
(回答)登録が伸びない要因は補助制度を設けている区市町村が少なく、補助を利用できる地域が限られている。区市町村への補助制度の導入を引き続き強く働きかけるとともに、(高齢者等)見守りサービスを実施する居住支援法人への支援等、都が単独で直接行う取り組みを独自に展開する。
(要求)借地人の所有する建物の耐震補強工事に対する助成を強める。賃貸住宅の耐震補強工事を促進するための賃貸人への支援策を。
(回答)建物所有者である借地人についても、都が実施する住宅の耐震化助成事業において、耐震補強工事の助成の申請が可能である。賃貸人の方も助成の対象にしている。
(要求)派遣切り、ネットカフェ難民、脱法ハウス、ホームレスなど生活の基盤である住まいを失った人たちの緊急対策として都営住宅の「目的外使用」での入居を行う。
(回答)都営住宅は応募倍率が非常に高く、恒常的な空き家はないことに加え、高齢者、障害者等の入居希望者が多数ある。単に「派遣切り」などの理由だけで都営住宅を提供することは困難。
(要求)単身の若者でも都営住宅に入居できるように都営住宅の入居制度を抜本的に改善し、就労支援を含めた居住支援を強化する。
(回答)昨年5月、東京都住宅政策審議会より答申の提出があり、そのなかで就労事業との連携のもと一定の条件下で就職氷河期世代等の若年単身者の入居を可能とする仕組み等について提言を頂いた。今後、頂いた答申をしっかり受け止めて、施策を推進する。
(要求)賃貸借契約の更新時に賃貸人から依頼された不動産業者が更新手数料を請求する事例が横行している。更新手数料は「本来依頼者である家主から取るべきである」旨の趣旨を徹底してほしい。
(回答)更新事務手数料については、宅地建物取引業法の規定外のため、業者に対して指導することはできない。
(要求)借地人に対し、底地を買い取った不動産業者から無理やり底地の買取りを迫ったり、買取りを拒否しているのに借地権の売却を迫られる事例が多発している。底地の買取り業者の悪質な行為を規制する対策を。
(回答)宅建業法は、賃貸では代理・媒介業務が対象であり、自ら賃貸を行う業務は対象外となるが、底地の買取りを執拗に求める行為は売買の勧誘に当たるので、迷惑な勧誘行為等につき、認定できた違反に対しては、行政指導・行政処分等、厳正に対処する。


ネットカフェ難民 都が一時住宅提供
住宅確保給付金制度が4月から拡充

休業のお知らせを掲示するネットカフェ
休業のお知らせを掲示するネットカフェ

 東京都は2018年に行った調査で、ネットカフェ利用者に占める住宅喪失者は1日当たり約4千人いると発表した。
 住宅喪失者の実に75・8%がパート・アルバイト・派遣労働者など不安定労働者だ。アパートが借りられずに寝泊まりする「ネットカフェ難民」が、コロナウイルスによる営業の自粛や休業などで仕事を辞めさせられ路頭に迷っている。反貧困ネットワークなど支援団体で結成された「新型コロナ災害緊急アクション」には、解雇された方々から悲痛な相談や「助けほしい」というSOSが寄せられている。
 東京都は支援団体の要請を受け、緊急事態宣言を行った4月10日にネッカフェを退去した人や住居を失った人のためにホテルや民間アパートなど一時的な宿泊先2千室を用意した。都内での生活期間が6カ月未満でも支援が受けられる。相談先は「TOKYOチャレンジネット」や区市町の福祉事務所、自立相談支援機関まで。住宅だけでなく就労や生活、資金貸付相談も受け付ける。
 家賃などを支払えない人のための生活困窮者自立支援法に基づく「住宅確保給付金制度」も4月20日から支給対象者を拡大し、65歳以上の方や現在失業していなくても休業等で生活が困難になった人に家賃が支給されることになった。相談先は各区市町村まで。