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2019年9月15日 第628号

相続法改正で相続のルールどう変わったか
東借連2019年夏季研修会開催
配偶者“居住権”が新設
亡くなるまで無償で居住が可能に

夏季研修会で講演する田見高秀弁護士
夏季研修会で講演する田見高秀弁護士

 東借連夏季研修会が9月1日午後1時30分から新宿区内で組合員30名が参加して開催された。

借地権の相続地主承諾不要

 研修会のテーマは「民法(相続法)の改正で相続のルールはどう変わった」で、講師の東借連常任弁護団の田見高秀弁護士により講演が行われた。
 はじめに、相続と借地のイロハについて、法定相続分と遺産分割等について説明。借地権の相続について借地権者である父親が死亡し長男が相続する場合について説明がされ、借地権の相続は「地主に対して契約書の名義変更料は支払う義務がない」、「建物の登記が完了すれば地主に通知すれば済む」ことなどが強調された。

相続法見直しの7ポイント

 次に、相続法の改正で見直された7つのポイントについて、①配偶者居住権の新設、②夫婦間の居住用不動産贈与等に関する優遇措置、③自筆証書遺言の方式緩和、④自筆証書遺言の法務局保管制度の新設、⑤預貯金の払戻し制度新設、⑥遺産分割制度の見直し、⑦特別の寄与制度の新設等について説明がされた。

配偶者が遺産分割で居住権

夏季研修会で質問する組合員
夏季研修会で質問する組合員

 配偶者居住権については配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができるようになり、被相続人に預貯金などの財産があれば配偶者に法定相続分の財産も取得できるなど、より配偶者に配慮する制度となり、来年4月1日から施行される。
 また、相続預貯金払戻し制度が新設され、他の相続人の同意がなくても預貯金の額の法定相続分の単独の払戻しができるようになった。講演終了後、参加者から講演や相続以外の借地問題について質問が出され、田見弁護士より丁寧な回答がされた。


組合員独自に学習会を開催
学習の必要性を痛感
若い世代の組合員が中心になって
地域の組合員が団結して地主へ対応
渋谷区

渋谷代々木班の学習会
渋谷代々木班の学習会

 8月24日(土)渋谷区内において渋谷グループの学習交流会が行われた。参加者は講師合わせて13名。城北借組高橋事務局長が講師を務めた。
 佐藤相談役がホワイトボードを使い解説した。借地をしていて契約書が見つからないが、改築してしまってもよいかとの質問があった。しかし、契約書を紛失してしまったのか、最初に交わした契約書を更新せず法定更新しているのかわからず、地主に契約書があるのか、あるならばコピーが欲しいと伝えるよう助言した。その上で増改築承諾特約があるのか確認するようアドバイスした。面倒だから改築してしまいたいと考えているようだが、無断増改築は契約解除になるので焦らず対応するよう伝えた。
 会場が2時間しか借りられないため、慌ただしい学習交流会だったが、積極的な質問と議論があり、内容が濃く、今後も定期的に開催したい。若い世代の組合員が中心になっており、これからの組合の核となるグループだと感じた。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 10月16日(水)・17日(木)午前11時~午後5時まで4時半受付終了(休憩午後1時~2時)、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。
 「学習交流集会」
9月28日(土)午後1時30分から亀戸カメリアホール9階会議室。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 10月5日(土)午後1時30分から組合事務所。
「借地借家市民セミナー」
 10月12日(土)午後6時30分から府中市市民活動センタープラッツ6階会議室A。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。連絡・(6806)4393。