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2018年3月15日 第612号

シェアハウスの実践と住宅セーフティネット
住宅団体が改正住宅セーフティネット法第5回講座
低額所得者母子家庭等の居住支援で報告
家賃補助は必要だが使いにくい公制度

住宅3団体主催による住宅セーフティネット法第5回講座
住宅3団体主催による住宅セーフティネット法第5回講座

 住まい連・住まいの貧困に取り組むネットワークなど3団体の主催による改正住宅セーフティネット法第5回講座「シェアハウスの実践と新たな住宅セーフティネット」が2月10日午後1時30分から新宿区牛込箪笥地域センターで開催され60名が参加した。今回はシェアハウスの実践に取り組む3名の女性から報告を聞き、パネルディスカッションが行われた。
 最初の報告者の奥山たえこさん(元杉並区議)は、千葉県柏市で住宅困窮者のためのシェアハウスを昨年5月に立上げた経験談を報告した。入居者の募集はインターネット無料掲示板のジモティーで、困窮度の度合いを優先するため家賃滞納者が多く、8室は現在満室だが半数は常に滞納・未納状態。初期費用なしでお金がなくても入居を受け入れている。
 次は、練馬区の現区議の加藤木桜子さん。社会福祉士の経験を生かして自ら土地を購入して2階建てのシェアハウスを今年5月に建築。入居対象者は介護が必要な人とその家族、障害のある人やひとり暮らしの人で、6畳の部屋・家賃5万3千円で管理費・光熱費等で3万円、10畳の部屋で家賃8万円。更新料なし。

シェアハウスの実践を報告する3人のパネリスト
シェアハウスの実践を報告する3人のパネリスト

 最後は、NPO法人女性のスペース結副代表の中村敏子さん。シングルマザー向けシェアハウスを今春建築。仕事を持ちながら子育てをしているシングルマザーのキャリアアップを応援することを目的にしている。
 3人の報告者からはセーフティネット法は現場の実態と乖離し使えない。家賃補助制度は必要で、もっと多くの人が暮らしやすくなる等の声が上がっていた。


民間賃貸住宅トラブル相談対応研修会
民法改正でどう変わる賃貸借契約

 国交省主催の「民間賃貸住宅の賃貸借関係をめぐるトラブル相談対応研修会」が2月22日に千代田区の全国町村議員会館で開催された。
 今回は平成29年の民法改正法に対応した「賃貸住宅標準契約書」、「原状回復のトラブルとガイドライン」の再改定版と「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」改訂版について3名の弁護士によって解説された。
 今回の民法改正により、「敷金の返還義務が明文化された」、「連帯保証人の極度額(保証人が保証する限度額)を書面等で保証契約を定めないと効力が生じない」、「住宅設備などの一部が滅失し賃借物の使用収益をできなくなった場合の賃料減
額が明文化された」、「契約
期間中の賃借人が修繕を実施できる手続ルールの明確化」、「賃借人の通常使用や賃借物の経年劣化など賃借人の責めに帰すべき事由に生じたものは原状回復の対象にならない」こと等が説明された。
 賃貸住宅の標準契約書は民法改正に対応した契約書案が公表された。契約期間中の修繕(第9条)では、「乙(借主)は、本物件内に修繕を要する箇所を発見したときは、甲(貸主)にその旨を通知し修繕の必要について協議するものとする」などが新たに付け加わった。
 原状回復のガイドラインでは「賃借人に特別の負担を課す特約」については、賃借人の十分な認識と了解をもって契約することが必要で、限定的に解すべきとされた。


東京都市開発三鷹市で底地買い
ブラック地主とテレビでも報道
地代集金に来ない!
組合から配達証明で集金の催促

底地買いが頻発する三鷹市の三鷹駅南口
底地買いが頻発する三鷹市の三鷹駅南口

 中央線三鷹駅南口から徒歩10分以内にある三鷹市上連雀の宅地を借りている井上さん(仮名)と本田さん(仮名)は、2年前の4月に前地主からブラック地主とテレビでも報道された東京都市開発株式会社に土地が売却された。
 二人とも借地は公道に面しておらず、井上さんは本田さんの裏で人がやっと通れる通路しかない。都市開発は底地の買取りを求めてきたが、井上さんは高齢でもあり買取りを拒否し、娘さんたちがインターネットで組合を探して相談。以来2年近く地代は組合事務所に集金に来ている。今年に入って公道に面した物納地を都市開発が買取り、系列の建売業者に売却し、借地人も退去して更地になるため、「今借地を返してくれれば○○万円の補償を出す」と立ち退きを求めてきている。
 隣の借地人の本田さんは建物も老朽化しているため一貫して立ち退きを求められている。昨年の5月以来地代の集金にも来なくなり、井上さんの紹介で今年1月に組合に加入。都市開発に集金に来るよう配達証明で通知した。1回では支払えないため2月に4か月分の地代を支払い、滞納した地代は分割で支払う予定でいる。本田さんも僅かな立退料では転居できず立退きを拒否している。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 4月18日(水)・19日(木)午前11時~午後5時まで4時半受付終了(昼食休憩午後1時~2時)、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。相談無料。
江東支部「借地借家問題学習交流会」
 3月31日(土)午後1時半~4時、江東区亀戸カメリアホール9階会議室。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 4月7日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者要予約。
 「憲法カフェ」
 3月24日(土)午後1時半から立川市柴崎会館3階学習室。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。
 「第46回定期総会」4月22日(日)午後1時30分から足立区学びピア。連絡・(6806)4393。
■大田借組「第52回定期総会」
 4月28日(土)午後1時半から大田区消費生活センター。連絡・(3735)8481。
■東借連「春季研修会」
 4月1日(日)午後1時半から新宿区消費生活センター分館(JR山手線高田馬場駅戸山口徒歩3分)。先着30名。連絡・(3982)7277。