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2017年7月15日 第604号

ハビタットと居住の権利
2017年住まいは人権デーの集い

講演する岡本祥浩中京大学教授
講演する岡本祥浩中京大学教授

都市が抱える格差の拡大
放置されている母子世帯の居住貧困

 2017年「住まいは人権デー」の集い『ハビタットと居住の権利―バンクーバー・イスタンブールからキト』が6月17日午後1時30分から新宿区内で開催された。主催者である住まい連代表幹事で日本住宅会議理事の坂庭国晴氏の開会挨拶で始まり、「居住の権利、居住生活の確立に向けて」をテーマにしたシンポジウムが阪東美智子氏(国立保健医療科学院・上席主任研究官)のコーディネーターで進行した。

報告する葛西リサ氏
報告する葛西リサ氏

 記念講演として「ハビタットの変遷」について中京大学教授の岡本祥浩氏が講演した。国連人間居住会議ハビタットIが1976年5月にバンクーバー(カナダ)で始まり、ハビタットIIが1996年にイスタンブール(トルコ)で開催され、「居住の権利」を基本的人権と認める歴史的な会議となった。2016年10月にキト(エクアドル)で開催されたハビタットIIIでは、都市人口が世界人口の過半数を占める状況の中で、都市の抱える深刻な課題の一つとして「格差の拡大」や「職業・性別などによる差別や特定者の排除」などの問題が議論された。岡本氏は日本の都市再開発を例に上げ、弱者が排除される「お金持ちのための都市になっているのではないか」と警鐘を鳴らし、今後のハビタットの課題と問題について指摘した。
 次に葛西リサ氏(立教大学RPD研究員)より「母子世帯の居住貧困―その実態とその解決に向けて」について、小田川華子氏(首都大学東京子供・若者貧困研究センター)より「子供・若者の貧困と居住政策」について講演があり、母子世帯の居住貧困が放置され、実態に見合った行政の対応・支援が必要であること等が強調された。


土地を買うか借地権売れ!
大田区久が原の借地人に強要

報告する葛西リサ氏
底地買いが起きた大田区久が原地域

借地人宅への訪問禁止
地代の集金は組合事務所まで
大田区

 大田区久が原地域で宅地約132平方メートルを賃借中の澤田さん(仮名)は、何の前触れもなく突然訪ねてきた不動産業者から「土地を買った。土地を買取るか借地権を売って明渡すか」と言われ、恐怖を感じて知人に相談して組合に入会した。
 澤田さんは業者と合う度に売買を重ねて拒否するが、同じことを執拗に求められる。特に地代は従来通り振込支払を求めても、業者は集金が我が社の方針と主張。集金の度に売買の即答を求められ、家族の中でも体調が病む人が出てくる。
 組合事務所に業者の担当者を呼びつけ協議する。まず地代は澤田さんが組合事務所に持参し、支払場所は組合事務所とする。土地の買取や借地権の売買は借地人の要望ではなく、業者からの提案であること。しかも澤田さんは明らかに売買の意思がないことを伝えており、澤田宅への訪問は今後禁止。要望は組合を介して行うことを伝える。事件発生から8ヶ月経過するが澤田さんは平穏な日々を取り戻した。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 8月23日(水)・24日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、池袋西武百貨店7階くらしの相談コーナー。
 「バス旅行」
 8月27日(日)~28日(月)の1泊2日、信州昼神温泉。往復大型観光バス使用。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 9月9日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者要予約。
 「親睦旅行」
 9月10日(日)・11日(月)の1泊2日、日光の社寺と中禅寺湖温泉の旅。池袋駅西口東京芸術劇場前に午前8時20分集合。おおるり観光湯けむり号でバス往復。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。
 「学習相談会」
 7月16日(日)午後1時から島根住区センター(東武スカイツリー線西新井駅東口より徒歩15分)。連絡・(6806)4393。