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2017年1月15日 第598号

50周年を飛躍の年に!
東借連会長 佐藤富美男

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 新年あけましておめでとうございます。
 今年の3月には東借連が、11月には全借連がそれぞれ50周年を迎えます。
 今から50年前、東京オリンピックを前後して首都圏並びに大都市に人口が集中しはじめると、家賃地代の大幅な引き上げ、多額な更新料の請求、借家借地からの追い出し等々、土地や家を借りている人々にとって、住み続ける権利を守る活動が必要になってきた時に借地人や借家人が弁護士と協力して立ち上げたのが借地借家人組合でした。役員を先頭にした組合員のみなさん、弁護士、様々な団体そして個人のみなさんのご支援でここまで歴史を刻むことができました。
 安倍内閣は、昨年の参議院選挙の結果、衆参で3分の2を超える議席を占めましたが、その一方で、沖縄、福島や東北などで取り組まれた一人区での市民と野党の共同の戦いでは惨敗をしました。安倍内閣の国民を無視した暴走政治が引き続き進められようとしています。
 今年こそ、住まいから貧困と格差をなくすために「家賃補助制度創設」の署名をはじめ、多くの団体、個人と共同の力で実現させていきたいと考えています。
 組合員のみなさん!
 50周年の今年は3月に第35回定期総会が開催されます。住み続ける権利を守る運動に一層のご理解とご協力、ご参加をお願いするとともに目の前に抱えている借地や借家の問題に組合役員、相談員、事務局員を先頭に解決のために全力を尽くすことを誓って、新年のご挨拶とさせていただきます。


地主代理人 更新料強要
北区赤羽に住む本田さん

更新料2週間以内に払え!
支払わなければ更新拒否と脅す

地主の代理人弁護士から送られた内容証明郵便
地主の代理人弁護士から送られた内容証明郵便

 北区赤羽に住む本田さん(仮名)は親の代から借地していた。今年の7月に父親が死亡し、相続した。同じ時期に、更新の時期が来て、地主から更新料と地代の値上げ請求が来ていた。本田さん、相続が完了してからと思い、地主との話し合いをしてこなかったところ、弁護士から内容証明書が送られてきた。その内容は「期間が満了したので、賃料の増額に同意し、増額された賃料を支払うこと。なおかつ更新料を支払わない限り更新を拒絶し、異議申し立てを行う」と記載されていた。賃料については、現行賃料の3倍の増額請求で、更新料については支払い特約もないにもかかわらず、更新を行う際は更新料を支払う義務があるとし、2週間以内に支払うよう請求してきた。更新料問題の本が図書館にあり、そこから借地借家人組合を知り相談に来た。建物が存在するので更新することを通知するとともに借地借家問題に詳しい専門家や弁護士と相談し回答すると返事することにした。


脱法ハウス?突然の契約解除

事務所契約で約3平方メートルで月額家賃3万5千円
足立区

足立区千住にある事務所と称する建物
足立区千住にある事務所と称する建物

 足立区千住地域で「事務所賃貸借契約」をしている深野さん(仮名)は、昨年12月家主から「建物の浸水と老朽化で取り壊すことになり通知後6か月で契約は終了する」との通知書を受け取った。急の通知に区議会議員事務所を尋ね組合を紹介された。深野さんは4年前からこの物件に入居し、初期契約期間は6か月間(普通借家契約なので1年以下の契約は無効)で更新されず、期間の定めのない契約のままになっている。事務所の広さは3・15平方メートルで賃料は月額3万5千円で他に電気代・共益費等を払っても5万円以内で済む。3階建てのビルに事務所(住居)が合計30室以上ある。これは脱法ハウスではないか。北千住駅からも近く、仕事先へのアクセスもよく、2畳もない部屋でも住み心地が良いとのこと。
 組合では、確かに築30年以上経っているが、本当に解体し、新築する計画案があるのか。6か月以内に同家賃の物件を仕事をしながら探すのは無理があるとの文書を送りつけて様子見る。通知は深野さん一人だけで入居者全員に通知されているか調べる必要があると助言した。
 この物件のホームページを検索すると、今でも同別件の入居案内が掲載され募集も引き続き行われている。この事実を踏まえると、他に理由があるのか全く不明である。