東京借地借家人新聞 top トップへ 前のページへ
2016年3月15日 第588号

民間賃貸住宅のトラブル対応で研修会
国土交通省の後援で全国で開催

通常損耗の範囲に注意を
標準契約書は民法改正を踏まえて解説

国交省へ申し入れを行うブラック地主家主対策弁護団の田見高秀弁護士(左)
研修会が開催された全国市町村議員会館

 国交省後援の「民間賃貸住宅の賃貸借関係をめぐるトラブル相談対応研修会」が2月12日千代田区の全国町村議員会館において約100名の参加のもと開催された。
 はじめに「賃貸住宅標準契約書(改訂版)について」の解説があり、消費者契約法に基づく特約の有効性、原状回復をめぐるトラブル、反社会勢力の排除の高まり等によって標準契約書が見直しされた経緯が解説された。
 次に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の解説では、通常損耗に関する補修費用を負担させる特約を無効にした最高裁判決を受け、通常損耗の範囲を具体的に明記している契約に注意が必要と指摘。休憩後、升田純弁護士から「住宅の賃貸借をめぐるトラブルの実情と防止」では相談を受けた場合、最初に結論を言って安心させ、後から説明する。法律的に解決できるのはごく一部であることを付け加えた。最近、相談者の中にはモンスタークレイマーと呼ばれる社会的常識が通用しない人がいるので危険を感じたら一人では対応しない。相談者の属性を見極め、経済的人格的な問題には過度に踏み込まないように注意すること。賃料支払い時、一部の若者はクレジット払いを選択し、スムーズな決済ができず、かえって負担増に陥るケースがあるとのことで、注意が必要と解説していた。
 研修会終了後、参加者の一部で2つのグループに分かれて、原状回復問題の対応等についてグループ討議を行った。東借連の役員も参加し、消費者生活センターの相談員や自治体職員が多く参加し、意見交換と交流を深めた。


地主作成の契約書要注意
借地権価格の1割の更新料支払特約

年金生活で地主の言いなりにはなりたくない!
大田区

国交省へ申し入れを行うブラック地主家主対策弁護団の田見高秀弁護士(左)
山岡さんの借地に隣接する糀谷商店街

 先日、組合事務所を訪ねてきた山岡(仮名)さんは、4年後の借地約143平方メートルに係る更新料問題で相談。更新料支払って更新するとか、協議の上更新料を支払うと記載された契約書を見ることは珍しくないが、山岡さんが持参した契約書を読んでビックリした。「地価の7割を借地権価格として、その1割の更新料を支払う」と記載されている。16年前500万円を上回る高額な更新料を払った際に記載されたという。借家の契約書に見習ったのか、16年も前に確実に更新料を借地人に支払わせるために、支払特約を具体的に記載する地主が存在していることに驚かされる。
 今は年金生活の状況で、地主から特約に基づく高額な更新料を請求されたらと、悩んでいたら知人から組合を紹介された。更新料支払特約は有効とした、5年前の最高裁判決を照会して理解を頂く。
 支払拒否の対応ではなく、借地人の支払可能な金額を如何に合理的に算出するか。地価の評価をどのようにするかなど、いろいろ工夫した対応ができることを伝える。
 山岡さんは、今後の生活を考えると、地主の請求通りにはなりたくないと固い決意で入会した。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 4月13日(水)・14日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 4月2日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者要予約。
 「借地借家問題市民セミナー」
 4月30日(土)午後1時半から八王子労政会館。連絡・042(526)1094。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。
 「第44回定期総会」
 4月17日(日)午前10時から足立区生涯学習センター(学びピア)。
連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者要予約。連絡・(3801)8697。
■大田借組「第50回定期総会」
 3月27日(日)午後1時30分から消費生活センター。連絡・(3735)8481。
 「借地借家問題講座・相談会」
 4月15日(金)大田区文化の森、4月22日(金)大田区消費生活センター、時間は午後6時から。連絡・(3735)8481。