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2013年8月15日 第557号

罹災都市法が廃止され借地借家特別措置法が成立

大規模災害で建物が滅失した借地人保護で特別措置

阪神・淡路大震災直後の被災地
阪神・淡路大震災直後の被災地

 大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法案は、先の通常国会で全会一致で可決成立した。この結果、戦災によって住居を失った被災者の保護と罹災都市の復興促進を目的に昭和21年に制定された罹災都市借地借家臨時処理法は廃止された。

 罹災都市法は、災害時にも適用され、これまで30回程度にわたって適用事例がある。平成7年に発生した阪神・淡路大震災にも適用されたが、戦後の臨時立法当時の法体系と現代の借地借家の実情に整合しないなど様々な問題点が指摘され、日本弁護士会からの反対もあって2年前の東日本大震災に適用されず、平成24年9月から法制審議会で罹災都市法の見直しが審議されてきた。

建物滅失後の借地権対抗力

 今回の特別措置法は、大規模な災害の被災地において、災害により借地上の建物が滅失した場合における借地人の保護等を図るための特別措置を定めた法律で借地借家法に優先する。当該災害を「特定大規模災害」として政令で指定され、適用すべき措置及び地区が指定される。(第2条)
 借地権の対抗力の特例では、借地借家法第10条第1項の場合において建物の滅失があっても、その滅失が特定大規模災害によるものであるときは、政令の日から6か月間は第3者に対抗することができる。
 なお、6か月が経過した後は、借地権者がその建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に掲示する時は、政令の日から起算して3年間は借地権を第3者に対抗することができることになった。(第4条)

従前借家人への通知制度

 特定大規模災害で建物が滅失していても借地権を譲渡又は転貸することができるようになった。ただし政令施行から1年以内借地人は裁判所に申し立てを行なえば、地主の代諾許可を与えることになった。(第5条)
 特定大規模災害で借家人が借りている建物が滅失した場合、従前の賃貸人がその敷地上に新たに建物を築造し、または築造しようとする場合、政令施行の日から3年以内にその建物の賃貸借契約の締結を勧誘しようとするときは、賃貸人は従前の賃借人のうち知れている者に対し、遅滞なくその旨を通知する義務が生まれる(第8条)。


東借連夏季研修会 8月31日豊島区で開催

=参加無料=

夏季研修会会場案内図
夏季研修会会場案内図

 東借連2013年度夏季研修会が、8月31日で豊島区東部区民事務所において開催される。
 今年の研修会は「借地借家相談事例の実践的な解決法」と題して、借家3問と借地2問の相談事例について、東借連役員の回答を受けて、参加者がABで回答する、組合員参加型学習会として行う。ジャッジするのは常任弁護団の西田穣弁護士。
●日時 8月31日(土) 午後1時半開会
●会場 豊島区東部区民事務所(JR山手線大塚駅北口徒歩7分)
●申込みは各組合まで


更新料拒否で頑張ってる 豊島区北大塚の松村さん

法定更新しているのに
不動産業者が更新料を請求

店舗のある豊島区北大塚附近
店舗のある豊島区北大塚附近

 豊島区北大塚でスナックを営業している松村さんは3年前に更新の時期を迎えたが、仲介の不動産会社が変更されるなどの家主の都合で新しい契約書は作成されず、家賃の支払いを行い、法定更新になってしまった。
 今年に入り、新しい不動産会社が「今度、私が家主の代理人となりました」と訪問してきた。そして、6月の後半になるともうすぐ更新だから、契約を更新する際には更新料を1カ月と更新事務手数料をもらいたいと言ってきた。松村さんは度々の不動産会社の訪問と脅しに近い言動にまいってしまい、地元の共産党の区議会議員に相談したところ借地借家人組合を紹介された。
 相談を受けた組合は、この店舗の賃貸借契約は3年前に合意することなく法定更新になっているので期限の定めがない契約となっているので更新の時期ではないこと。また、6年前の契約には更新料についての記載がないことなどを説明した。不動産会社が来たならば「借地借家人組合に入会している。法定更新中の契約で、更新料を支払えという法的根拠を書面で出しなさい」と回答するようアドバイスした。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 9月11日(水)・12日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで西武デパート7階。
 「被災地南相馬原町借組と交流バス旅行」
 9月1日(日)~2日(土)1泊2日。連絡・(3982)7654。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から組合事務所。
 「定例役員会」
 同日午後2時から組合事務所で。終了後暑気払い。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。連絡・(3908)7270。
■多摩借組「定例法律相談会」
 9月14日(土)午後1時半から組合事務所。連絡・042(526)1094。
■東借連「2013年夏季研修会」
 8月31日(土)午後1時半、豊島区東部区民事務所。テーマ「相談事例の実践的な解決法」。解説は東借連常任弁護団・西田穣弁護士。参加無料。連絡・(3982)7277。