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2012年12月15日 第549号

東借連秋季研修会開く

3つのテーマで報告と質疑
組合員の自覚を高め
請負いではない相談活動を

東借連秋季研修会(11月25日サンパール荒川)
東借連秋季研修会(11月25日サンパール荒川)

 東借連秋季研修会は、11月25日午後1時半からサンパール荒川(荒川区民会館)の集会室で6組合から17名の参加で開催された。
 若色理事の司会で開会され、3人の報告者から3つのテーマに沿って報告がされた。
 第1のテーマ「民間賃貸住宅憲章の制定と住宅政策の転換」と題して、細谷事務局長が報告した。日本住宅会議が25年前に「住宅憲章」を発表して以降国民の住まいはよくなったのか、民間賃貸住宅の住まいの実態や定期借家制度の導入、家主のプロフェショナル化で管理が全て管理会社に委託され、保証会社による追い出し行為の発生、家賃滞納等のデーターベース化等の問題等を指摘した。
 これらの原因として政府の市場原理優先の住宅政策の下で公営住宅が削減され、住まいの貧困化が加速していることを批判。民間賃貸住宅でも安心して住み続けられるために、全借連では11項目の「民間賃貸住宅憲章」案を発表し、さらなる議論を呼びかけていることを報告した。
 第2のテーマは「借地借家人組合の原点と組織の拡大強化とは」について、佐藤会長が報告した。組合の相談活動について「請負的な相談活動ではなく、一人一人の組合員がたたかう力と能力を高める相談活動にしていく」ことの重要性を指摘した。組合の民主的な運営として、「定期総会や役員会の開催」、「支部・班体制の確立」、「組合員相互の交流活動」等が提起された。

役員会が運営のチェックを

研修会終了後の懇親交流会(乾杯する菊地理事)
研修会終了後の懇親交流会(乾杯する菊地理事)

 休憩後、第3のテーマ「相談に対応するポイント」と題して大田借組の桜井事務局長が報告した。更新料・地代家賃の増額と減額、明渡し、地上げ、賃料の供託、内容証明郵便の活用以上について、大変わかりやすく相談のポイントが説明された。桜井事務局長は「トラブルは避けられない。トラブルを避けようとすると相手の主張を受入れることになる」と、更新料問題などでは組合員の自覚をしっかりと高めることが強調された。
 討論では、3つのテーマに沿って活発な質疑が行われた。足立借組の役員から「組合を事務局まかせにせず、しっかりと役員会が組合の運営をチェックすることが重要」等の意見が出された。


大震災で借地借家人の権利は

法制審議会で罹災法の見直しで審議

 法制審議会被災関連借地借家・建物区分所有法法制部会は、11月12日の第4回部会から罹災都市借地借家臨時処理法(罹災法)の見直しの審議が始まった。
 8月に行った罹災法の担当者素案に対するパブリックコメントは、借主団体からは全借連・城北借組・大借連の3団体で、弁護士会や司法書士会、不動産協会、など18団体から、個人を含め26通の意見が寄せられた。全借連から借地借家人の代表として細谷事務局長代行(東借連事務局長)が、法制審議委員として審議会に参加し、(1)優先借地権及び借地権優先譲受権制度、(2)被災地一時使用借地権、(3)借地権保護等の規律、(4)優先借家制度の在り方等、(5)賃借条件の変更命令制度、(6)見直し後の制度の在り方(政令の適用等)について、議論を行った。
 罹災法は、戦災により住居を失った被災者の保護等を目的に制定され、災害時にも政令により地域を指定して適用されるようになった。阪神淡路大震災においても適用されたが、優先借地権・優先借家権などの権利が建物の借家人の権利としてはあまりにも過大であり、現代の借地借家の実情に整合しなくなったとの指摘もあり、東日本大震災では罹災法の適用が見送られた。
 優先借家制度の廃止をめぐって部会の意見が分かれたが、国交省から「災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保」の提案もあり、貸主と借主の権利の調整ではなく、公的な支援制度によって解決するべきであるとの意見が強かった。第6回部会では、議論を踏まえて要綱案が議論される。


更新料拒否で頑張ってる

大田区大森西の田中さん
前回払っただけなのに
更新料支払約束あると強要

研修会終了後の懇親交流会(乾杯する菊地理事)
田中さんが住む大田区大森西のバス通り

 大田区大森西地域で約20坪を賃借している田中さんは、土地の所有権を取得したという業者が現れて、一時は驚いたが冷静に権利の移行や地代の支払い等を確認する。
 また、底地の買取を求められるが、建物の建築許可が下りない場所であるので、丁重に断り地代を指定通り支払ってきた。
 今年11月の契約期間満了を迎え、10月に地主の代理人弁護士より、契約書特約条項記載の更新料140万円を本書到達後7日以内に支払われない場合は法的手段をとると内容証明郵便にて通告された。
 直ちに、契約書に記載のある特約は「前回の更新の際に借地人が更新料を支払い地主が受領した」との記載であり、次の更新時の更新料支払の約定ではなく、最高裁判決も支払慣習を否定していることを書面で通告した。
 後日、代理人弁護士は昨年7月15日付の借家の約定更新料を合法とする最高裁の判決を運用して、再度支払を求めながら依頼者は直ちに訴訟の提起は考えていないので話し合いたいからと連絡を求めてきた。
 田中さんは、すでに支払拒否を通告しており、支払を求める地主側との話し合いには応じないことにしている。
 契約者の母に代わり毅然と対応する娘さんは「更新料解決マニュアル」本を一般書店から購入して学習中だ。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 1月16日(水)・17日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで西武デパート7階。
 「新年会」
 1月22日(火)午後6時30分から豊島区勤労福祉会館。連絡・(3982)7654。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時まで組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。
 「新年会」
 1月27日(日)午後1時から会場は未定。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■多摩借組「新年会」
 1月18日(金)午後6時半から「旬彩一丁」(立川駅南口徒歩5分。立川場外馬券売り場ウインズ立川前)。連絡・042(526)1094。
■大田借組「新年会」
 1月19日(土)午後6時から大田区消費生活センター。連絡・(3735)8481。