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2012年11月15日 第548号

民間賃貸住宅憲章を提案

2012年住宅研究・交流集会開催
家賃補助制度で本格的議論
貧困を解消し、住生活の安定に必要

2012年住宅研究・交流集会(10月27日新宿区)
2012年住宅研究・交流集会(10月27日新宿区)

 2012年住宅研究・交流集会「あらたな住宅政策、住宅憲章をめざして」は、10月27日午前11時から新宿区保育プラザで70名の参加で開催された。
 午前中の全体会では、小池田忠・全国公住協事務局長より「住宅団地の改善・再生と自治会活動」と題して、名古屋市緑区の森の里荘自治会の活動が報告された。
 続いて、塩崎賢明・日本住宅会議理事長(立命館大学教授)より「復興予算問題と被災地の現状」と題して基調講演が行われた。

復興予算の流用問題を解明

 塩崎理事長はNHKスペシャルでも報道され、自らも調査した復興予算の流用問題について、復興予算19兆円が使われた488事業を被災地、被災地を含む全国、被災地以外に3つに分類して検証したところ、被災地とは全く関係のないところに予算が使われ、全国対象の事業も1割程しか被災地に使われていないことを指摘した。
 財源は来年から徴収される国民の税金(所得税・住民税等)で、所得税は今後25年間2・1%が上乗せされる。阪神大震災でも復興事業16・3兆円の内、復興とは関係のない将来の防災事業等に33%が使われた。東日本大震災でも全く同じ構図で、被災者や被災地を支援することに復興予算が使われず、被災者・被災地が置き去りにされようとしているとしていることを強調した。
 午後から3つの分科会に分かれ、第2分科会「民間賃貸住宅の現状と新たな住宅憲章」では、佐藤富美男会長が「借地借家相談から見えてくる住宅の貧困問題」について、細谷紫朗事務局長が全借連提案の「民間賃貸住宅憲章の制定に向けて」と題して報告した。この他、東京特別区の低家賃住宅の実態と活用、住宅手当制度の実態と問題点、追い出し屋被害の実態と規制法について等が報告された。分科会では、住宅手当と家賃補助制度の違い、住まいの貧困の解消に向け家賃補助制度創設の意義等が議論された。


更新料請求で頑張ってる

板橋区清水町の川中さん
更新料支払い 明確な合意なし
組合に入会し拒否することを決意

川中さんが住む板橋区清水町地域
川中さんが住む板橋区清水町地域

 板橋区清水町に住む川中さん(仮名)は、親の代から借地して住んでいた。30年目に地主に承諾料を支払って、堅固な建物(鉄骨3階建)を建築した。今年に入って、地主の代理人の不動産会社から更新の時期を迎えたので一度事務所に来てくださいと通知を受けた。
 訪問すると「契約には更新料を支払って更新することが出来ると書いてあるので、更新する際には350万円の更新料と地代の20%値上げをしてほしい」と言われた。言われるままに「わかりました」と返事してしまったが、これは地主の請求についてはわかりましたという意味で承諾した意味ではないことははっきりしていたが、その後地主の代理人からは早く契約書を作成するよう請求された。困った川中さんは西武デパートの無料の相談会に相談に来た。当初の相談は、「地主との関係を悪くしたくない。更新料をもう少し安くできないか。地代の値上げをやめさせることはできないか」ということだった。しかしながら組合の「更新料解決マニュアル・その更新料支払う必要ありません」の本や相談員の説明を受けて、更新料の支払いについても明確な合意がないので支払う必要がない、地代の値上げも阻止で頑張ってみることにした。その第一弾として地主に対して「建物が存在していますので借地契約を更新して住み続けるつもりです。今後は借地借家人組合に入会し相談します」を通知した。この借地は30年前に所有していた地主が平成16年に競売物件となり、2年後に売却された。その後、買いとった大手のM不動産から地主の実弟が買い戻してもので、今後は売却の話も含め対応していくことにした。


借地の譲渡を強要

借地の譲渡を強要
組合が地上げ屋を一喝
葛飾区

 葛飾借組に入会して5年になる矢口さん(仮名)は、更新料請求裁判や建物修繕問題等々組合と相談の上解決してきた。ここに来て宅建業者が矢口さん宅を来訪し「この土地を買い取ったので明け渡すか買い取るかどちらかにしろ」と主張してきた。
 本人は80歳まじかで業者への反論もままならず苦しい日々を送っていた。組合では本人の事情を考慮して交渉対応は組合で行うことになった。業者より組合に連絡があり対応することになった。地上げ屋は買い取りを求めながら金額を示すことはなかった。組合では買い取る意思はない旨を主張したが、業者は損する話ではない旨を述べるにのみで1時間以上もねばったが、組合からは「二言はない」と言って帰ってもらった。なお、業者は買ったというが所有権の登記は移転されておらず、組合では譲渡強要は宅建業法に反する行為である旨を主張した。
 第2回目の話し合いでは、業者は組合に来るなり今までの行為を土下座して謝り、「組合に取り持ってもらえないか」と言ってきた。組合では「今後も譲渡の強要を続けるのであれば管轄する官庁に通報し、しかるべき措置を行ってもらう」旨を通告し、協議は20分で終わり、業者に帰ってもらった。組合では、矢口さんの居住の権利を守るために頑張る所存である。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 12月12日(水)・13日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで西武デパート7階。
 「借地借家問題講座」
 11月28日(水)午後1時半より新宿区高田馬場・消費生活センター分室会議室。連絡・(3982)7654。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時まで組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■多摩借組「更新料・相続問題学習会」
 11月17日(土)午後1時半からルミエール府中1階第2会議室(京王線府中駅から徒歩6分)
 「定例法律相談」
 12月7日(金)午後1時30分から組合事務所。連絡・042(526)1094。
■東借連「秋季研修会~組合員が主人公の組合づくりをめざして~」
 11月25日(日)午後1時半からサンパール荒川5階第6会議室(JR日暮里駅東口亀戸行バスで荒川区役所前下車徒歩2分、都電荒川線サンパール荒川前下車)。東借連の役員及び各組合の役員他。