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2012年7月15日 第544号

よく分った更新料問題

6月23日更新料問題学習会開催
更新料の発生当事者の合意
明確な支払特約なければ支払拒否を

更新料問題学習会で挨拶する佐藤富美男会長
更新料問題学習会で挨拶する佐藤富美男会長

 東借連主催の「更新料問題学習会」が、6月23日午後1時30分から豊島区東部区民事務所において44名の参加で開催された。
 生駒副会長が司会を行い、佐藤会長より開会挨拶があり、「昨年の最高裁判決以降、東借連では更新料をなくす運動を継続して行っている。常任弁護団の協力で借主の立場に立った更新料の本(更新料解決マニュアル)を7月に発行する。今日の学習会には間に合わなかったが、更新料をなくしていくためにしっかりと学習しよう」と訴えた。

弁護士など専門家の見極め重要

講演する枝川充志弁護士
講演する枝川充志弁護士

 東借連常任弁護団の枝川充志弁護士より、最近担当した事件から、更新料と何か、平成23年7月15日の最高裁判決の考え方、更新料支払特約のある場合の対応、調停や裁判の対応等について1時間にわたり講演が行われた。
 はじめに、更新料請求事件で地裁・高裁に続いて更新料請求を棄却した体験事例が紹介され、東京高裁の裁判長の執拗な和解勧告をはねつけた生々しい経験談が報告された。
 更新料については、賃料と違い民法や借地借家法には何らの規定もなく、賃料を支払っている借主が更新の時に更新料をプラスして支払う必要性はなく、借主には法律上も法定更新の規定があり、更新料を支払わなくても円満に使用ができるのであって、昨年の最高裁の判決の複合的性質という考え方を批判した。
 最近の判例では、更新料の発生根拠を当事者の合意としていることを指摘し、借主は契約書の作成する時には更新料の金額が算出できるような具体的で明確な支払特約を定めないよう強調された。
 また、更新料や借地借家事件に精通していない弁護士がいるので専門家の見極めも重要との指摘がされた。講演後、参加者との間で活発な質疑応答が行われた。


更新料解決マニュアル発行

東借連常任弁護団

写真 「更新料解決マニュアル~その更新料払う必要はありません!」が、旬報社から定価1260円で7月に発行される。同マニュアルは、東借連と常任弁護団を中心とする弁護士の編著者による、更新料のトラブルに直面した時にすぐに活用できる、事例満載の超実践的なマニュアル本。注文は東借連事務所まで。


都市再開発でビルの明渡し
東京地裁が低額な立退料を容認

再開発の計画 知ってビルを買上げ
借主は営業の継続求め高裁へ控訴

 Aさん夫妻は平成9年、渋谷区幡ヶ谷に中華料理店「南天玉(ナンテンユー)」をオープンし、その後の平成14年2月、かねてから念願であった「日本橋」の地に、本店として「日本橋店」をオープンした。
 ところがS不動産は、周辺の土地やビルを買い上げ解体しながら、平成19年9月に「日本橋店」のあるビルと土地を買い上げ、挙げ句に平成20年4月には、老朽化を理由に賃貸借契約を解約するとの申入れをしてきた。
 しかし日本橋店は約2600万円もの費用をかけて改装しており、しかもオープンしてから約5年、まさにこれからという時に解約を申し入れがあり、Aさん夫妻は驚きを隠せなかった。
 Aさん夫妻は営業の継続を強く訴えたが、S不動産はAさんの会社を相手に、老朽化のみを理由として、東京地裁に明渡訴訟を提起した。
 ところがさらに驚いたことに、裁判中、再開発計画の存在が判明した。しかも、S不動産は既に周辺土地を買い上げていたので、同計画が予定されていたのは明らかである。
 Aさん夫妻は、S不動産が低額の立退料ですませようとしていたのではないかと不信感を持った。その後も、S不動産が提示した立退料や東京地裁の立退料鑑定に、再開発利益が反映されることはなかった。
 そこでAさん夫妻は、これまで日本橋店の維持・発展のため費やした実損(前述改装費)は当然のこと、立退によって被る営業損害及び再開発利益、何より「日本橋」というブランド名を失うことのダメージを訴えた。
 しかしAさん夫妻の訴えは無視され、判決では裁判所の鑑定による立退料をそのまま採用された。これは実損すら填補されていないあまりにも低額なものだった。
 Aさん夫妻の要望はあくまでお金ではなく「日本橋」での営業の継続である。
 Aさん夫妻が問いかけているのは、「巨大企業が行う再開発の前に小さな会社の企業努力は無視されてよいのか、立退けと言うなら、日本橋店が被る実損を正当かつ公平に評価せよ」ということである。
 Aさん夫妻は現在、東京高裁に控訴し、日本橋での営業の継続を求め奮闘している。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 8月22日(水)・23日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「バス旅行」
 8月26日(日)・27日(月)の1泊2日、山形県あつみ温泉。連絡・(3982)7654。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時まで組合事務所。
 「役員会」
 毎月第2日曜日午後2時から組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
  毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■多摩借組「定例法律相談」
 9月1日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者は要予約
 「秋の親睦旅行」
 10月13日(土)・14日(日)の1泊2日、奥日光湯元温泉。連絡・042(526)1094。
■大田借組「バス旅行」
 11月4日(日)・5日(月)の一泊2日。行先は飛騨高山。連絡・(3735)8481。
■「日本住宅会議サマーセミナー~東日本大震災の復興はいま」
 9月3日~9月5日に福島県いわき市のスパリゾート・ハワイアンズ。