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2011年12月15日 第537号

更新料をなくせ、学習会開催

5人の組合員が更新料請求で頑張った経験を報告
最高裁判決は厳格な法的判断を放棄
田見弁護士が今年7月15日判決を批判

会場一杯の49名が参加した更新料問題学習会
会場一杯の49名が参加した更新料問題学習会

 全借連と東借連共催による「更新料問題学習会」が11月19日午後1時半から豊島区東部区民事務所において49名の参加で開催された。
 千借連の大森啓安事務局長の司会で開会された。開会に当り東借連の佐藤富美男会長より「京都の民間賃貸マンションの更新料について今年7月に最高裁の判決が出た。更新料問題の法律や判例を学習するとともに、更新料をなくす運動の各経験報告を通じて交流を深め、今後更新料をなくす運動を大いに広げていきたい」と挨拶があった。

更新料はみかじめ料と同じ

報告する城北借組の浅川さん
報告する城北借組の浅川さん

 講演では、東借連常任弁護団の田見高秀弁護士は、最高裁の7月15日の判決はどういう判決なのか、更新料特約を無効とした大阪高裁判決(平成22年2月24日判決)との判断の違いについて詳しく説明した。最高裁の判決について、(1)実際に払われているのだし、貸主が欲しいのだから仲良くするために払いなさいよという以上の意味がない。法的判断を厳格に行うという司法の本来あるべき姿勢を放棄している。(2)借地借家法30条の不利益特約でないという判断もなおざりにしている等々と指摘し、「更新料を支払うことによって円満に物件を使用継続できる」というのは、暴力団の「みかじめ料」と変わらない理屈であると批判した。借地契約や借家契約と更新料の関係について判例を挙げながら説明し、「借地でも借家でも更新料支払約束がない場合には更新料は支払わなくてもよい」と明確に指摘した。
 続いて足立・大田・千葉・城北の各組合より5人の組合員が自らの更新料請求で支払を拒否して頑張った経験を報告。最後に、田見弁護士より更新料をなくす運動について紙芝居を作るなど分かりやすい運動の工夫が指摘された。


更新料請求で頑張ってる

大田区西糀谷のYさん
地主が調停の申立て
法定更新を主張し、特約は無効

町工場が集中する大田区西糀谷地域
町工場が集中する大田区西糀谷地域

 戦後の日本復興を担った京浜工業地帯で物作りの町工場が集中して栄えた。大田区西糀谷地域で、約30坪を賃借しているYさんは、平成23年10月の契約期間満了期日を控えて、地主より長期不況にも関わらず更新料の請求を受けて、知人の紹介で組合事務所を訪ねてきた。
 不況で仕事は減り日々の生活に追われている状況で更新料の支払に回す資金はなく、さらに、契約書に「合意の上で更新する場合は、適正な更新料を支払う」との特約条項が気がかりという。助言は、通常通り更新料は法律上支払う義務はなく、最高裁判所の判決は地主の借地人への更新料請求を却下しており、安心して支払拒否して法定更新を選択することを地主の問い合わせの際に伝えることにした。助言どおり対応すると、地主はYさんに内容証明郵便を送り、更新料支払わないなら契約を解除するとか、法定更新するとの主張や組合に相談していることに不満の態度を示し、裁判に訴えると通告してきた。早速、Yさんは所有建物が現存しており、更新の条件は整えていること。従って更新料を支払わず契約の合意更新には至らないので、法定更新もやむを得ないと内容証明郵便で通告した。
 11月になって、地主の通告通り東京簡易裁判所より調停期日呼出状が届き、早速、打ち合わせを行う。調停裁判は話し合いなので更新料は払わないことを最後まで主張する。法定更新を主張し、更新料の支払の特約条項は適正な更新料などなく、金額を算定できる明確な特約ではなく更新料の請求権は認められない。今回は、Yさん自身で調停裁判に望むことになった。


更新料拒否された地主が地代の増額で内金で受領

板橋区

 板橋区中板橋に住む大野さん(仮名)は10数年前に、更新料の請求を拒否し頑張ってきた。その後は、賃料の増額請求に対しても双方の合意がない増額請求は認められないとして頑張ってきたが、今年に入りに地主からあらためて増額請求を行うと同時に更新料の支払いを拒否し、賃料の増額請求を認めないような借地人には、数年後の契約更新を拒絶するから明渡すよう請求してきた。大野さんは、ただちに組合と相談し、賃料の増額請求に対して賃料増減額の三つの要素(1)経済事情の動向(土地の価格)(2)公租公課の増減(3)近隣の相場を検討したが、そのいずれをとっても増額の請求には応じられない旨の回答を行った。すると地主から「7月に最高裁判決で更新料の正当性が明らかになった。貴方はその支払いに応じてないのだからその分賃料に転嫁しなければならない。そのうえで支払った賃料はその一部として受領する」という通知があった。大野さんはこのような言い分を認めるわけにはいかないので反論するとともに、供託も視野に入れて対応することにした。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 1月16日(水)・17日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「法律相談」
 1月18日(金)午後2時から組合事務所。
 「2012年新年会」
 1月30日(月)午後6時30分より豊島区立勤労福祉会館。会費2千円。連絡・(3982)7654。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。
 「役員会と新年会」
 1月8日(日)午後2時から組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月第1土曜日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■大田借組「理事会・忘年会」
 12月17日(土)午後6時30分から大田区消費生活センター。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
 1月14日(土)午後1時30分から組合事務所。
 「新年会」
 1月20日(金)午後6時から庄や立川南口店。連絡・042(526)1094。