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2010年10月15日 第523号

日本型社会住宅の確立を

住宅政策の転換テーマに学習交流会
憲法無視した戦後の住宅政策
家賃補助制度創設で居住保障を

講演する塩崎賢明日本住宅会議理事長
講演する塩崎賢明日本住宅会議理事長

 全借連主催による「住宅政策学習交流集会」が9月11日午後1時30分から豊島区東部区民事務所において24名の参加で開催された。
 学習交流集会は、全借連の船越康亘副会長の司会で始まり、河岸清吉会長が開会あいさつを行なった。続いて、神戸大学教授で日本住宅会議理事長の塩崎賢明氏より「居住貧困と住宅政策の転換」と題して約1時間にわたって講演が行なわれた。

居住貧困を生む3つの原因

 講演では、今日の居住貧困が生まれた原因として、塩崎氏は3点を指摘した。(1)戦後の住宅政策の基本的欠陥として、憲法の精神に基づいた住宅政策の放棄、景気浮揚策としての住宅産業対策を戦後一貫してやってきたこと。そのことで粗悪住宅が大量建設され、年間11万戸の住宅が大量廃棄されている。
 次には、(2)規制緩和・市場原理主義の横行が80年代から20年以上にわたり実施された。借地借家法の改悪、定期借地権制度・定期借家権制度の創設、公的住宅施策の3本柱の解体、公営住宅の新規建設の停止、公共住宅用地の売り払い等によって、公営住宅の応募倍率は全国で10倍、東京では30倍に跳ね上がった。民間賃貸住宅は依然として狭小で高家賃状態に置かれている。さらに(3)労働・雇用法制の改悪によって、派遣労働が拡大し、人間の労働が物と同じように扱われ、若者が行き場を失い、食べていくことすら困難になっていることが指摘された。

公的な保証制度の創設を

 次に、当面の対策について、民主党政府の施策の重大な問題点として、地域主権一括法については一括交付金になれば住宅施策も道路やダムと同じ扱いになり、財政難の自治体では公営住宅予算など切り捨てられる危険がある。追い出し屋規制法案については、家賃滞納情報などデーターベース化は借家人にとって重大な問題であり、公的な保証制度の創設が指摘された。
 また、住宅政策の転換について「家賃補助制度の創設」と「公的賃貸住宅の拡充」について指摘があり、公営住宅に入居できる資格がありながら入居できない民間賃貸住宅居住者と公営住宅居住者との格差を是正するための家賃補助制度の仕組みをつくるべきであり、低所得の人達に住宅を保障する制度として「日本型社会住宅」を確立する必要があると強調された。
 最後に、運動団体の役割についてセーフティネット法の「居住支援協議会」について借地借家人組合も参加して住宅に困った人達への様々な居住支援の取組みを実施させていく必要性が指摘された。
  討論では、ゲストハウスの劣悪な居住実態や大阪府の府営住宅つぶしと半減計画、家賃等弁済情報のデーターベース問題等について活発な発言や質疑応答が行なわれた。


家賃滞納データーベース禁止を

真の追い出し屋規制法求め院内集会

データーベース禁止求める院内集会
データーベース禁止求める院内集会

 全国追い出し屋対策会議主催の「家賃滞納データーベースを禁止し、真の追い出し屋規制法の制定を考える懇談会」が9月29日午後3時30分から衆議院第2議員会館の会議室で開催された。
 同会議の増田代表幹事より、今回継続審議になっている追い出し屋規制法案について、先の参議院の国会審議の不十分な論点や家賃滞納等データーベースが借家人のブラックリストづくりに利用される等の問題点が報告された。家賃債務保証会社がデーターベース化の運用を始めて以降、入居審査で理由不明の保証拒否や入居を拒否される事例が起きていることが明らかにされた。被害者の報告では、都民住宅に入居した母子家庭の女性がリーマン・ショックで収入が激減し家賃を滞納し、「1日30~40回に及ぶ電話や深夜の訪問、呼び鈴を連打された」等の追い出し屋による悪質な取立て行為の実態が報告された。懇談会では、東借連の細谷事務局長が「敷金トラブルや更新料拒否等の情報がデーターベース化されたら借家人は無抵抗でがんじがらめにされる」とデーターベース化の危険性を強く訴えた。


連帯保証人がいるのに
更新時に保証会社に変更

保証契約の更新料請求
更新料拒否して法定更新に

足立区

不動産業者が行なう保証契約への切替は要注意だ
不動産業者が行なう保証契約への切替は要注意だ

 組合事務所に足立区に住むAさん(女性)から、電話での相談があった。
 アパートを借りて4年経つが、そのアパート入居するときの契約時には、子供を連帯保証人として賃貸借契約を結んだ。2年前の更新時に、仲介する不動産会社から言われるままに保証人を子供から保証会社の保証委託契約に契約金を支払って変更した。
 今回、2回目の更新を迎え、不動産会社から更新料と保証会社の保証契約の更新料請求があった。新賃料の25%と言われたが、なんとかならないか支払いを拒否することは可能かという相談だった。
 相談員は「今、このような相談が増えていること。仲介する不動産会社が保証会社の保証契約に変更することで、売り上げを伸ばそうとしている。このような変更や更新については、双方の合意が必要で、きちんと拒絶し、合意更新が出来ないならば法定更新で構わないことをきちんと主張するように」とアドバイスをした。Aさんは「頑張ってやってみます」と答えた。


組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 11月17日(水)・18日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 11月19日(金)午後2時から組合事務所。相談者要予約。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「更新料問題学習会」
 11月19日(金)午後6時30分から立川市柴崎学習館。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。
 「第42回定期総会」
 11月28日(日)午前10時から大島総合区民センターで。昼から別会場で懇親会。
 連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月23日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。