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2026年6月15日 第699号


国が最低居住面積水準を削除
健康で文化的な住生活の基準放棄
高家賃負担の賃借人尻目に
健康より儲け優先の住宅政策


新築された狭少賃貸住宅

 憲法25条に基づき国民が健康で文化的な生活を営むための住宅の最低限の広さを国は「最低居住面積水準」として定め、これまでの住生活基本計画では、単身者は25u、2人以上の世帯は10u×世帯人数+10uとされています。さらに、豊かな住生活の実現に向けて「誘導居住面積水準」を定め、都市居住型誘導居住面積水準として単身者は40uとしていました。ところが今年閣議決定された住生活基本計画では、最低・誘導両居住面積水準がきっぱり削除されました。

 最低居住面積水準と誘導居住面積水準を削除した理由について、国交省は次のように説明しています。
 「最低居住面積水準及び誘導居住面積水準については、住生活基本計画の前身である、住宅建設五箇年計画の時代に設定をされたものであり、昨今では、平均世帯人員の減少、単身世帯の増加等の社会構造の変化に加え、人生100年時代のライフスタイルは多様化し、多様な居住ニーズを受け止める選択肢のある市場が重視されることや、世帯数に比して住宅ストックは充足している状態であるところ、既存の住宅ストックを有効活用し、将来世代に継承していくことを重視すべきであることを踏まえると、面積のみに着目して居住面積水準を住生活基本計画の一部として掲げる必要性は薄れていると認識しております」。

最低居住面積の
削除は憲法違反

 そもそも日本の賃貸住宅は狭く、持ち家と比較して住宅の面積水準は4割以下で、一向に改善されていません。勿論、住宅は面積だけではなく、耐震性・防火性・防犯性・耐久性・遮音性・高齢者への配慮等居住性能が十分であるかなど当然問われます。しかも、賃貸住宅の居住性能が不十分なため騒音・水漏れなどトラブルが多発しています。とりわけ最近の家賃の高騰によって、首都圏など大都市では支払い可能な家賃の住宅が見つからないなど深刻な状況が生まれています。
 住宅メーカーでは、地価や建築費の高騰の影響もあって、居住スペースが9u程度のワンルームの賃貸住宅を積極的に建設し、新築で家賃7万円〜8万円で通勤・通学が便利な駅近物件が20代から30代に人気です。家具も置けず、風呂もなくシャワー室のみで、家に帰って寝るだけの生活が健康で文化的な生活とは到底呼べません。
 政府の最低居住面積水準の解消という政策目標を放棄することについて、ライフスタイルの変化など全く理由になりません。かつて、外国から「経済大国なのに国民はウサギ小屋で暮らしている」と批判され、1976年に最低居住面積水準が定められました。
 最低居住面積水準以下の住宅を早期に解消する目標すら放棄することは憲法25条違反であると言わざるを得ません。今後、公営・公共住宅などの最低居住面積水準が守られなくなるのではないかと危惧されます。
 40年前、早川和男元神戸大学教授は新日本住宅物語(朝日選書)で「人間にとって一番大事なことは人間としての尊厳が守られ、人間にふさわしい暮らしができることである」と指摘しています。政府の人間の尊厳を無視した居住水準の改悪に断固として反対しましょう。

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