国土交通省は、11月26日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会で住生活基本計画(全国計画素案)を発表しました。
この中で、住生活の安定確保及び向上の促進に関する目標並びにその達成のために必要な基本的施策として、「住まうヒトの視点」、「住まうモノの視点」、「住まいを支えるプレイヤーの視点」から、11の目標を設定し、2050年に目指す住生活の姿、当面10年間で取り組む施策の方向性(下図参照)を定めています。

具体的施策なく総花的
しかし、「住まうヒト」の視点の目標に向けた施策については総花的で具体的な施策は何も明らかにされておりません。住宅価格や家賃の高騰で「若年世帯や子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会の実現」とは程遠い現状であり、素案には家賃補助制度もなく東京都内では新築マンションが1億円を超え、賃貸住宅の家賃も数十万円と高額で、住宅価格の高騰が少子化に追い打ちをかけている状況です。
民間任せの居住サポート住
高齢者や障害者など住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境・居住支援体制についても改正住宅セーフティネット法が本年10月に施行されたばかりで、居住支援のある居住サポート住宅について民間の居住支援法人任せであり、高齢者等の見守りや安否確認等の負担、居住サポート住宅の家賃負担など、低所得の単身高齢者が入居できるのか不確実です。
公的賃貸住宅団地有効活用
目標3住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境では、公営住宅等の公的賃貸住宅と民間賃貸住宅の双方が住宅セーフティネットの柱として国民の居住の安定を支えるとして、公営住宅を住宅セーフティネットの根幹であるという位置づけから後退しています。具体的施策では、公的賃貸住宅の建替え等で生じる余剰地の民間事業者等による活用を含む、公的賃貸住宅団地等の土地・建物の有効活用の推進が提言されています。同計画は来年3月に閣議決定される予定です。 |