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賃借人の住まいの実態調査を報告する全借連細谷事務局長 |
老朽化マンションの建替え要件を緩和する「マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案」が国会で成立しました。5月14日に開催された衆議院国土交通委員会で、同法案が審議され、日本共産党の堀川あきこ衆議院議員がマンションの建替え決議が成立すると区分所有者が専有部分の賃借権の終了を請求できる問題について質問し、マンション居住者を含め、安定した住まいの確保が不十分であると批判しました。
堀川議員は、賃借権の終了請求権の創設について政府側と以下のような質疑応答を行いました。
(堀川議員)本改正案では建替え決議があれば、建替えに参加する区分所有者によって賃貸借の終了を請求することが可能となります。なぜあえて今回の賃貸借終了請求権を創設する規定が必要なのですか。
(竹内政府参考人)現行の区分所有法では、建替え決議がされた場合でも、直ちに当該賃貸借が終了するわけではなく、……更新しない旨の通知、解約の申入れに正当事由があると認められないと、賃貸借は継続し、賃借人に専有部分の明渡しを求めることができず、建替えの円滑な実施が困難になる恐れがございます。区分所有者でも、建替え決議に賛成せず参加しない場合には、売り渡し請求がされて区分所有権を失うことになり、このような区分所有権についての権利調整の在り方との均衡に照らせば、建替え決議があった場合に一定の補償の下で賃貸借を終了されることも許容されると考えられるところでございます。
(堀川議員)建て替えを進めること自体、私は必要だと思いますし、否定しません。ただ、やはり賃借人の住まいの権利というのも当然保護されるべきだと思うんです。
賃貸物件をめぐるトラブルの相談をされている団体(全借連)から、沢山の事例を紹介して頂きました。都内の事例を紹介、管理事業者やコンサル会社から、正当事由を示されないまま高圧的な態度で立ち退きを数回にわたって要求され、心身を病んでしまっている事例もあります。この団体の方にお話を聞いていますと、明渡しの正当事由など存在しない明渡し請求が圧倒的で、僅かな立ち退き料で多くの賃借人は泣き寝入りしているのが実態だというふうなお話をされていました。
国交省は、こうした不当な立ち退きの実態を把握しているのか、国交省の対応をお聞きします。
(中野国務大臣)国土交通省としても、借地借家法の適切な運用により、賃借人の利益が図れることが重要だと考えています。仮に国土交通省に明渡しをめぐる紛争等についてご相談等があった場合には、法務省とも相談しながら適切な相談先につなぐなど、適切に対応してまいります。以下略 |