過去のページ
東京借地借家人新聞


2010年9月15日
第522号

本来の組合活動の在り方で研修

東借連2010年夏季研修会を開催

支部班を 基礎にした活動等で交流

組合員が主人公の持続可能な組織に

東借連夏季研修会であいさつする佐藤会長
東借連夏季研修会であいさつする佐藤会長

 東借連主催による「夏季研修会」が9月5日午後1時30分から豊島区東部事務所において、8借組から25名が参加して開催された。
 生駒勝美副会長の司会で開会され、はじめに佐藤冨美男会長は開会あいさつで「昨年の東借連総会の運動方針で定期的な総会や役員会の開催ができていない組合について組合の存続にも影響していると指摘したが、その後品川・西部の両組合が東借連を脱退し、組合が消滅するという問題が生まれた。この研修会を通じて組織をどう存続させ強化していくか、各組合の経験を交流し、良い点や困難な問題も学びあい各組合で検討してもらいたい」と訴えた。

6借組が活動の経験を報告

報告する大田借組の菊池副組合長(右)
報告する大田借組の菊池副組合長(右)

 次に「本来の組合活動の在り方〜各組合の活動の経験に学ぼう」との研修テーマにそって6借組より活動の報告が行われた。大田借組の菊池健副組合長からは大田借組の支部・班活動を中心に報告がされ、「組合員が近くに二人以上いれば新聞を配布してもらい組合員相互のつながりを持ってもらう活動を通じて自然に班長さんになってもらっている。班のあるところでは組合の総会・旅行会に参加する人が多い」と指摘があった。
 江東借組の渡辺かつ子幹事からは大島と北砂の2つの班の班会議の内容が報告され、新しく役員になる方には相談員として立ち会ってもらう中で自分の問題に置き換えて考えてもらう経験を語った。
  足立借組の若色栄一副組合長は3年前の総会で事務局長が退職した途端に、役員が半数以下に減少するという困難な状態の中で新しい役員を補充し、支部や班を基礎に活動している内容が報告された。
  東京多摩借組の岩松茂登雄理事からは学習会をこの5年間に延17回開催し、延175名の組合員が参加し、借地借家法を中心に様々なテーマで学習し、学習活動を通じて新しい役員が育っている経験が報告された。
  荒川借組の小泉幸冶氏からは昨年の11月から荒川区の各地域別に会員を中心に一般にも呼びかけて学習相談会を行った経験が報告された。
  城北借組の佐藤事務局長からは「組合の拡大強化について、相談活動の改善と役員体制の拡充について」と題して報告がされ、昨年の総会で27名の役員が生まれ、30代・40代の若い役員や女性の役員が増えていることが報告された。組合の相談活動では請け負い活動はせず、「組合は自分で頑張る人を応援し援助する」ことをよく説明しているとの指摘があった。
  討論では、組合ニュースや組合の財政、学習活動等について活発な意見交流がされ、最後に細谷紫朗事務局長が閉会のあいさつを行った。




 

更新料拒否で頑張った

大田区馬込の上条さん

過去と今後の 更新料全て撤回に

地主側と29年間の地代還付で協議

 

春の桜並木が綺麗な大田区馬込地域
春の桜並木が綺麗な大田区馬込地域

 大田区馬込地域は、大正末から昭和にかけて山本周五郎や尾崎士郎に川端康成、石坂洋次郎、宇野千代、北原白秋に萩原朔太郎、さらに松川事件で知られる広津和郎等多くの文士や芸術家が移り住むようになり、「馬込文士村」といわれて散策コースにもなっている。しかも、春にはサクラが綺麗は並木通りで、区民の憩い地域になっている。
 この地域で約44坪の土地を賃借している上条さんは、昭和56年に更新料を請求され、支払い拒否の結果地代を受領拒否されて、組合を介して供託が始まった。
 この間、建物の修繕や部分改修工事問題で、相続した新たな地主との協議は時間を要して了承を得たが、更新料については不払いを貫き地代の供託は継続された。この程、何の前ぶれなく地主代理人の不動産業者より「お会いしたい」といわれた。上条さんは、組合を通すようにと伝えた。業者の要望は、29年に及ぶ地代の供託金を還付したいので協力を求めてきたのだった。
 その内容は供託書が整っていないということで約20年分の供託書のコピーを業者に交付した。今後の地代の受領を求めたが、賃貸借契約書の締結が先決ということで、平成22年6月分までの地代を供託し、契約書作成の協議を継続した。契約期間の設定、地代の増額、更新料等が主要は問題だった。相互に契約書が不明のため上条さんの建物登記期日から起算して期間設定、地代の増額請求や過去の更新料の請求及び今後の約定更新料の設定を撤回することで合意した。上条さんは、地主指定の口座に7月より9月分の地代の振り込みに着手した。




 

【借地借家相談室】

家主の地代不払いを理由に地主から借家人への明渡請求が認められるか

(問)借地上の建物を賃借しているが、突然地主から家主(借地人)が地代を長期滞納したので債務不履行を理由に借地契約を解除したと通告された。6カ月後に建物を取壊すので早急に建物を明渡すよう要求された。地主の要求に応じなければならないのか。
(答)建物の賃貸借契約(借家契約)と敷地に関する地主と借地人との土地賃貸借契約(借地契約)はそれぞれ独立して有効に成立する。借家契約は敷地の利用権が消滅すれば、地上建物の借家契約も存続出来ないことになる。譬えて言えば「親亀こけたら子亀もこける」の関係にある。
 なお借地人が建物を第三者に賃貸しても借地自体を転貸したことにはならない。従って地主に無断で建物を賃貸しても地主は契約を解除することは出来ない。借地人の債務不履行に基づく解除の場合に、地主は借地契約の消滅を借家人に主張出来るとしている(最高裁昭和39年7月28日判決)。従って、借家人は地主に賃借権を主張できないので、最終的には建物を明渡さなければならない。
 では、家主である借地人の滞納地代を借家人が居住権を守るために地主に直接支払うことが出来ないのか。判例は借地権の消滅を防止することに法律上の利益を有することから借家人が借地人に代わって地代を支払うことを認めている(最高裁昭和63年7月1日判決)。
 しかし借家人にまで代払いの催告をして、滞納地代の支払の機会を与える必要はない(最高裁昭和51年12月14日判決)としている。
 相談者の地主は建物を取壊す目論見があるので代払いを認めることは状況から困難である。しかし、裁判で借地契約が解除されることが確定した場合でも、借家契約は直ちに終了する訳ではない。地主と借家人との間で建物・敷地の明渡義務が確定され、地主が建物収去土地明渡の強制執行をして建物の使用収益が現実に出来なくなる等、借家人が現実に建物を使用出来なくなるまで借家契約は終了しない(最高裁昭和45年12月24日判決)。それまでは建物の明渡請求に応じる必要はない。
 但し、借家人は建物取壊しまでの間の家賃を支払う義務がある。加えて地主から地代相当額の損害金の請求を受ける場合もあるので留意すべきである。




 

組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 10月13日(水)・14日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 10月15日(金)午後2時から組合事務所。相談者要予約。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 10月2日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者要予約。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■大田借組「借地借家問題講座・相談会」
 10月23日(土)午後6時30分から大田区消費生活センター。10月30日(土)午後6時30分から大田文化の森。連絡・(3735)8481。
■反貧困世直し大集会実行委員会「いいかげんに変えよう!希望の持てる社会に」
 10月16日(土)11時から17時、明治公園(入場無料)。13時半から15時まで住まいの分科会「立ち上がれ借家人、住まいを脅かす家賃滞納ブラックリストやめろ」を開催。集会後デモ行進。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

 ← インデックスへ