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東京借地借家人新聞


2010年7月15日
第520号

6・14住まいは人権デー

今こそ住宅政策の転換を

“安心できる住まいを”
住まい連や貧困ネット代表がリレートーク

雨天の中行われた6・14住まいは人権デー(池袋駅東口)
雨天の中行われた6・14住まいは人権デー(池袋駅東口)

 14年前の6月14日、第2回国連人間居住会議で採択された「居住の権利宣言」を記念して、住宅運動団体が毎年行なっている「住まいは人権デー」を今年も6月14日の夕方5時半から池袋駅東口で実施した。雨天のため、チラシの宣伝は中止し、住まいの貧困に取り組むネットワークに結集するハウジングプアの当事者と住宅運動団体が次々とハンドマイクでリレートークを行なった。

みほこんさんのバイオリン演奏も入った住まいは人権パーティー
みほこんさんのバイオリン演奏も入った住まいは人権パーティー

 リレートークでは、腎臓病で人工透析をされている方、入居差別をされた経験をもつ女性、派遣切りで仕事も住所も失った人に住宅を提供する労働組合の代表、耐震不足で公団住宅の退去を求められている住民代表がマイクで住まいの貧困の実態を訴えた。
 借地借家人組合を代表して東借連の細谷事務局長は「保証人を立てられない借家人は僅かな家賃の滞納でも保証会社からアパートの退去を求められている。安心して居住するために公的な保証人制度や家賃補助が今必要になっている」と訴えた。街頭宣伝終了後、豊島区生活産業プラザで60名が参加して「住まいは人権パーティ」を行なった。バイオリニストのみほこんさんの演奏で盛り上がり、当日発刊の貧困ネットや住まい連の本とパンフが紹介された。




 

更新料請求で頑張ってる

新宿区坂町の本沢さん

20年前更新拒絶なのに更新料2回分請求

調停裁判も支払い拒否で望む

本沢さんの借地のある新宿区坂町附近
本沢さんの借地のある新宿区坂町附近

 本沢さん(仮名)は、新宿区坂町に戦後すぐに借地して60数年たっている。
 この間、平成2年の契約更新時に地主に更新を拒絶され、自己使用という理由で借地の明渡しを求められて調停を起された。調停は不調に終わり、地代の受領も拒否された。以後、法務局に明渡しを係争中として供託していた。
 今年に入り、今度は借地関係調停申し立てと称して、今回の更新料として400万円、前回平成2年の更新料300万円の合計700万円の支払いを求めるものであった。区役所の無料の法律相談に行けば、「支払った方が無難ですよ。もめごとを大きくしない方がいいんですよ」と言われ、知り合いから紹介された丸の内の弁護士に相談に行けば「更新料を支払わないというのは世間の常識を知らなすぎる」と脅かされた。別の弁護士に相談したところ「いくら位なら払えるのかと」と言われていた。
 その時、週刊誌に載った「更新料特集(賃貸住宅)」の記事に東借連の更新料問題の学習会の様子が載っていた。ここだと思い、インターネットで調べ、組合事務所に相談に来た。組合では、更新料の歴史的な背景や最高裁判決、また更新料支払いの特約のある契約でも法定更新されたものについては支払い義務がないという判決について説明した。本沢さんは法的な根拠のない更新料については支払わないと決意を固め、組合に入会した。今回の調停には、依頼している弁護士にも、更新料については一切の妥協はせず、支払わないということを確認し臨むことにした。




 

組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 8月25日(水)・26日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 8月の「無料法律相談会」はお休みします。
 連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 9月4日(土)午後1時30分から組合事務所。担当・山口真美弁護士。相談者は要予約。
 「第18回定例学習会」
 9月25日(土)午後1時30分から組合事務所。テーマ「借地借家の更新料問題」。連絡・042(526)1094。
■大田借組「理事会」
 8月21日(土)午後6時30分から大田区生活センター。
 連絡・(3735)8481。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。
 連絡・(3882)0055。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。
 連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
  毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。
 連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。
 連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。
 連絡・(3908)7270。
■東借連「夏季研修会」
 9月5日(日)午後1時30分から豊島区東部区民事務所。研修テーマ「本来の組合活動のあり方」各組合より活動経験のレポート報告。各組合の役員及び役員候補が対象。申込みは8月30日までに。
 連絡・(3982)7277。




【借地借家相談室】

備え付けのガス給湯器が故障したが家主が修理をしないときの対処法は

(問)備え付けのガス給湯器が故障した。家主に何度も修理の依頼をしたが、黙殺された。家主に修理をさせ、その費用を支払わせる方法はないものか。
(答)民法606条は賃貸人の修繕義務を定めている。即ち「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をする義務を負う」と規定されている。賃貸物の保存のための修繕義務は家主にあることが明確に規定されている。家主が修繕義務を免れるためには、予め契約で「ガス給湯器の修繕は借家人の負担とする」との特約を結ぶ必要がある。
 しかし特約が認められるには、「条項に具体的に明記されているか(略)契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」(最高裁2005年12月16日判決)と特約の成立に厳しい制限加えている。特約があるからといって無条件で認められる訳ではない。相談者の場合は修繕特約がないので修繕義務は家主にある。
 民法615条で賃借物に修繕が必要な場合は賃借人が遅滞なく賃貸人にその旨を通知する義務があると「賃借人の通知義務」を規定している。同じく民法608条では「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる」と「賃借人による費用の償還請求」が規定されている。これらに基づいて以下、家主の費用負担で修繕をさせる方法である。
 先ず配達証明付内容証明郵便で家主に対して修繕請求をする。「ガス給湯器が故障し、現在使用不能です。業者の修理見積では*万円ということです。本書到達後10日以内に修理して下さい。もし期日までに修理して戴けない場合は、当方が業者に依頼して修理します。立替払いした修理費用は後日請求しますのでお支払い下さい。万一お支払いがない場合は、月々の家賃と修理費用を相殺することをご承知措き下さい」という趣旨のものである。この通知を出しても、家主が修理を履行しない場合は、その内容の通りに実行する。修理費用が月額家賃の半分以上になる場合は、数回に分割して立替払いした修理費用を全額回収する。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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