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東京借地借家人新聞


2010年5月15日
第518号

住宅政策の転換めざして国会集会

住まい連・住宅会議・住まいの貧困ネット共催

住宅を裏から表のテーマに

「住宅政策の転換を求める提言」を発表

住宅政策の転換を求める国会集会(4月16日、衆議院第2議員会館内)
住宅政策の転換を求める国会集会(4月16日、衆議院第2議員会館内)

 日本住宅会議、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、住まいの貧困に取り組むネットワークの3団体による「住宅政策の転換をめざす国会集会」が4月16日午後1時30分から衆議院第2議員会館第1会議室で開催され、会場の定員を超える140名が参加した。
 集会には、日本共産党の小池あきら参議院議員、公明党の竹内譲衆議院議員、松浦大悟参議院議員と議員秘書他が参加した。
 主催者を代表して住まい連代表幹事の坂庭国晴氏が開会あいさつを行ない、講演「公設派遣村の教訓と住宅政策、住宅運動に望むもの」と題して反貧困ネットワーク事務局長、NPOもやい事務局長の湯浅誠氏が報告した。

講演する湯浅誠氏(中央)
講演する湯浅誠氏(中央)

 湯浅氏は、昨年10月から半年間、内閣府の参与として年末・年始の「公設派遣村」や食と住居を失った人達への「ワンストップサービス」等の活動を行なってきた経験を語り、役所の縦割り行政や自治体間の福祉サービスの押し付け合いの問題点を指摘した。とくに、「労働問題の裏側には住宅問題があるのだが、住宅問題は裏テーマになっていて社会問題として認識されていない。住宅問題を表のテーマにしていかないといけない。欧州で一般化している家賃補助制度などを日本でも普遍的な制度にしていく必要がある」と強調した。

日本型社会住宅の整備確立

 続いて、神戸大学教授で日本住宅会議の理事長の塩崎賢明氏より「当面する住宅困窮を打開し、住宅政策の転換を求める提言」が発表された。第4章の「すべての人々の居住を保障する住宅政策への転換」として、(1)国に住宅対策総合本部を設置し、居住保障の住宅政策を実施する。(2)家賃補助制度の導入を中心とした民間賃貸住宅施策を実行する。(3)セーフティネットとしての公営住宅の機能を拡大・充実させる。(4)「日本型社会住宅」の整備を確立し、機能させる。以上4点が指摘され、上記の提言をさらに論議を深め成案にするよう訴えた。
 住宅関係団体からの報告では、全借連の佐藤副会長(東借連会長)より家賃が僅か半月支払が遅れただけで家賃保証会社によるサラ金同様の家賃の取立ての実態を報告し、保証会社の拡大や家賃滞納のブラックリストづくりの問題点が発言された。




 

亀戸駅で街頭宣伝

家賃補助署名を訴える

亀戸駅北口の街頭宣伝行動
亀戸駅北口の街頭宣伝行動

 東借連は、4月24日午後1時からJR亀戸駅北口で地元の江東借組を中心に14名が参加して「街頭宣伝行動」を実施した。
 ハンドマイクで「職を失っても、病気になって働けなくなっても賃貸住宅に安心して住み続けられるように家賃補助制度を創設しよう」と訴え、街頭署名を呼びかけ、チラシをまいて宣伝した。終了後、カメリアプラザで交流した。




 

東借連理論学習会のご案内

・日時 5月29日(土)午後1時半
・会場 豊島区東部区民事務所
(JR大塚駅北口下車徒歩5分)
・講師 東借連常任弁護団
西田 穣 弁護士
・テーマ 「借地・借家の更新料について」
・定員 80名
・申込み 5月26日までに東借連本部
・主催 東京借地借家人組合連合会
電話 03(3982)7277
FAX 03(3982)7659
・共催 住まいの貧困に取り組むネットワーク



借家明渡しで頑張る

大田区矢口の田中さん

家主が突然業者に売却

借家人の権利を主張し堂々と交渉

田中さんの居住する大田区矢口地区
田中さんの居住する大田区矢口地区

 大田区矢口地区は、JR蒲田駅で東急多摩川線に乗り換えて武蔵新田駅下車すると便利な地域である。下車駅から徒歩約10分のところにある。木造2階建居宅一戸建を賃借中の田中さんが組合事務所を訪ねてこの程入会した。昨年12月から今年の1月にかけて、数カ所の底地や家屋を売却したのか2月なって家主より売却したとの連絡があり、3週間後に取得者の業者が訪ねてきた。5月には建物を取り壊して更地にしたいので明渡してほしいと言ってきた。
 田中さんは業者が移転先を探すというので、10万円の家賃でペット可の一戸建を矢口地域に限定し要望を伝えた。区役所の区民の声に相談。借家権があるので立ち退かなくてもよい。家賃の受領拒否の場合は供託するとよいと教わる。さらに、登記簿謄本を取り寄せると権利が業者に移転しているので、前家主に払った後の4月分の家賃は新家主である業者の担当者に支払い領収書をもらったが、業者に対する対応や今後のことが心配で入会した。
 家屋はまだ十分居住に耐えられるものであり、業者の明渡し請求には正当な理由がなく、田中さんにとって納得できる条件が提示されるまで頑張ることを確認した。田中さんは業者を呼びつけ家賃を受領させるなどしっかりとした権利意識を持った借家人だ。




【借地借家相談室】

借地人が破産すると借地契約を解除され、退居しなければならないのか

(問)借地人ですが、裁判所から破産手続開始決定がありました。借地契約はどうなるのですか、解約されてしまうのですか。
(答)旧民法621条は「賃借人が破産宣告を受けたときは、賃貸借に期間の定めがある場合でも、賃貸人又は破産管財人は民法617条の規定に従って解約の申入れをすることができる」と定めていた。借地契約については解約の申入れ後1年経過後に契約は終了する旨規定されていた(民法617条)。
 しかし、借地人の破産という事実だけで、借地契約の解約を簡単に認めてしまうと、借地権という財産的価値が契約期間途中で一方的に奪われてしまい、借地人にとって酷な結果となる。また、借地人が生活基盤を喪失することは更に深刻な問題である。
 判例も借地に関しては、「賃貸人が民法621条に基づき賃貸借契約の解約申入れをするためには、正当事由が解約申入れの時から期間満了に至るまで存続することを要し、この正当事由を欠く時は解約申入れの効力は生じないと解すべきである」(最高裁昭和48年10月30日判決)とした。借地人が破産した場合でも、地主からの契約解除に正当事由を要求し、解除権に制限を加え、借地人の保護がなされている。
 破産による解除を認めなくても、仮に賃料の支払いの遅滞があれば債務不履行を理由に契約を解除できるから地主に不利益はない。借地人が破産をしても、地代の支払いが継続し、使用者、使用方法に変更がない限り、地主に経済的な悪影響を与えないので、契約解除権を地主に認める必要はないと言える。地主に解除権を認めると、借地人の破産を奇貨として借地権を消滅させるために破産制度を悪用する危険がある。それは地主が借地人の財産を掠奪することを合法化することであり、不当利得を正当化することである。
 そこで破産法(平成17年1月1日施行)の改正に伴い、民法621条が削除された。これに伴い、借地人の破産を理由とする地主からの契約解除を認めないことになった。また、借地人が借地上の建物を登記して対抗要件を具備している場合は破産管財人からの解除権が行使できない規定が新設され、借地人の保護がなされた(破産法56条)。




組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
6月16日(水)・17日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 6月18日(金)午後2時から組合事務所。相談者は要予約。
 連絡・(3982)7654。
■多摩借組「借地借家問題市民セミナー」
 6月26日(土)午後6時半から武蔵野公会堂(吉祥寺駅公園口徒歩2分)。
 「定例法律相談会」
 6月5日(土)午後1時30分から組合事務所。担当・山口真美弁護士。相談者は要予約・連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。
 連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。
 連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。
連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。
 連絡・(3908)7270。
■大田借組「役員研修会」
 5月29日(土)・30日(日)の1泊2日、福島県いわき市かんぽの宿いわき。連絡・(3735)8481。
■住まい連他「6・14住まいは人権デー」
 6月14日(月)午後5時30分から6時30分、池袋駅東口リレートークとビラ宣伝。終了後、午後6時45分から別会場で懇親交流会。連絡・(3982)7654東借連本部まで。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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