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東京借地借家人新聞


2009年2月15日
第503号

空いてるじゃん!花畑団地ツアー
2月11日に住まいの貧困準備会が
現地ツアー

住宅貧困問題で運動が始動
3月に設立集会、4月に被害110番実施

1千戸以上の空家があるUR花畑団地
1千戸以上の空家があるUR花畑団地

 昨年10月に開催された「反貧困世直しイッキ大集会」の住まい分科会の参加者や参加団体を中心に、集会後に「住まいの貧困に取組む準備会」が設立され、第3回目の会議が1月19日午後7時から新宿区の大久保地域センターで開催された。
 国土交通省では、派遣切りなどで住宅を失った離職退去者に対し、UR(旧公団)住宅の空家への優先入居策を発表したが、都内の団地では東久留米市のひばりが丘の僅か9戸しか対象になっていない。公営住宅も東京都の供給戸数6戸(立川市3戸、日野市3戸)で都営住宅はゼロと極めて不十分な状況にある。足立区のUR花畑団地では約千戸の空家がありながら、団地再生複合型の団地に再生するため1400戸が解体・除去の対象になっている。
 今回の会議では、派遣切りにあった労働者などにも呼びかけ、UR団地の空家を活用すべきと声を上げるため、2月11日午後2時から4時に「空いてるじゃん!花畑団地現地ツワー〜住まいのセーフティネットを作ろう〜」を実施し、団地内の見学と住民との交流を含めた現地集会を開催することを決定した。
 また、3月14日には都内で住まいの貧困のネットワーク組織の正式な立上げの設立集会とシンポを新宿区大久保地域センターで開催する。4月19日に管理会社や保証会社、ゼロゼロ物件などの被害者の掘り起こしのための「追い出し屋被害110番」の実施などを取組むことを確認した。

住まい連が国土交通省交渉
住宅セーフネット実施で

国交省と交渉する住まい連代表
国交省と交渉する住まい連代表

 住まいを守る全国連絡会は、1月30日午前11時から派遣社員など非正規労働者の実効ある住宅セーフティネットの即時実施を求めて国土交通省交渉を行なった。
 国交省は「現在離職者に向けた対策としてUR・公営・公社住宅の空家の確保をすすめており、公団住宅については3月末までに全国で2千戸の住宅を確保する、東京都の公営住宅は応募者が多く1年以上空いているのは30数戸しかない」との説明がされた。住まい連の代表からは、東京など大都市では公共住宅の空家が十分に確保されていない問題を指摘し、足立区の花畑団地等の建替え予定の団地などの積極的な活用を訴えた。




借地の更新で頑張ってる
豊島区南池袋の原山さん

更新料と地代値上げの理由を
説明しない代理人を一喝

原山さんが居住する豊島区南池袋附近
原山さんが居住する豊島区南池袋附近

 豊島区南池袋に住む原山さんは、別な借地に住む兄弟から借地の相談を受けた。
 地主とは何10年の付き合いで、昨年の10月には、介護用のリフォームについても承諾して工事を行っていた。この工事が終了する前に地主の代理人となったと称する不動産会社から更新と地代の値上げについて話合いをしたいと通知を受けた。
 更新の時期はすでに5年前に過ぎていて、工事が終了してから話合いをしようと提案したが強引に会社事務所に来るよう提案された。そこで、組合にも相談し、組合事務所で話合う用意があると申し出をしたが、原山さんの自宅で話合いを行うことになった。
 更新料については、更地価格の7%と地代については、10年間近く値上げしていないので、現行地代の50%値上げを請求してきた。
 話合いの当日は、組合事務局長が参加し、更新料についての最高裁の判決や賃料増減額についての最高裁通知の文書、国に物納された練馬区の借地の地代が平成12年から19年では30%近い減額がなされている契約書の写しなどをもって説明した。
 代理人の不動産会社はこの説明を受けるや「更新料の支払いも地代の値上げも拒否ですね」と言って、話合いを打ち切り帰ろうとした。その態度に怒った原山さんから「自ら話し合いをしたいと言って更新料の根拠や地代の値上げの理由についてなんら説明せずに帰るとは何事か」と一喝された。




【借地借家相談室】

堅固建物所有の借地更新時に
期間15年の契約をしたが果して有効なのか

(問)約20坪を借地し、鉄骨3階建建物を所有している。本年8月末が借地契約の更新である。15年前の更新の際、私が更新料を半分に値切ったところ、地主は借地期間も半分になるのが理窟だと言って、それまでの30年契約を15年に縮めてしまった。ところが友人に、15年という契約期間は認められない筈だと言われたが、どうなのか。

(答)相談者の契約は借地借家法(平成4年8月1日)施行以前の契約なので、旧借地法が適用される。
 借地権の最短期間は堅固な建物については30年以上、その他の建物は20年以上である(借地法5条2項)。従って、「合意による契約の更新において借地権の法定存続期間よりも短い期間を定めても、その特約は無効であり、堅固な建物については30年、非堅固な建物については20年の存続期間が与えられる」(東京高裁昭和30年5月30日判決)ということになる。従来の判例は存続期間をこのように借地法5条2項の規定に拠った解釈をしていた。
 しかし、最高裁判所大法廷は、「建物所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地法2条2項所定より短い期間を定めた場合には、右存続期間の約定は同法11条により定めなかったものとみなされ、右賃貸借の存続期間は、借地法2条1項の本文によって定まる」(昭和44年11月26日判決)との統一解釈を示した。
 借地法2条1項は、契約で期間を定めなかった場合、借地権の存続期間は堅固建物の所有を目的とするものは60年、その他の建物は30年と法定存続期間を定めている。
 最高裁の判例に基づけば、法定存続期間に満たない期間の約定は借地法2条2項に抵触し、借地法11条により借地人に不利な契約条件として無効になる。約定は定めなかったものとして扱われ、存続期間については当事者間に何らの合意も存続しなかった場合として扱われ、借地法2条1項本文から堅固建物所有目的の借地権は60年の存続期間となる。
 従って、相談者の残存借地期間は後45年間存続することになる。
 また、木造など非堅固建物の約定存続期間(20年)よりも短い期間を仮に当事者の合意で定めたとしても、当事者の意思に関係なく期間は30年と法定される。




組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 3月11日(水)・12日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 3月13日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。連絡・(3982)7654。
■大田借組「第43回総会」
 3月29日(土)午後1時半から大田区立消費者生活センター。連絡・(3735)8481。
■多摩借組「定例法律相談」
 3月7日(土)午後1時半から組合事務所。担当山口真美弁護士。相談者は電話で必ず要予約。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から亀戸カメリアプラザ。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。
 「第39回定期総会」
 3月29日午後1時から東京土建足立支部。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
 毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
 2月4日(水)・18日(水)午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■東借連「第3回評議員会」
  2月17日(火)午後6時半から豊島区東部区民事務所。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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