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東京借地借家人新聞


2009年12月15日
第513号

追い出し屋に法規制を

法規制を求め国会集会開催

国交省が法規制を検討

家賃保証会社が滞納情報DB化を促進

追い出し屋の法規制を求める院内集会
追い出し屋の法規制を求める院内集会

 家賃を滞納した入居者を強制的に追い出す、追い出し屋被害が急増する中で、追い出し屋規制問題は大きな山場を迎えている。
 全国追い出し屋対策会議の「追い出し屋の法規制を求める院内集会」が、11月16日午後3時30分から参議院議員会館第1会議室で開催され、60名が参加した。
 集会には、政党から民主党の藤末健三参議院議員、日本共産党から穀田恵二衆議院議員が参加し、他に国会議員秘書が多数参加した。
 全国追い出し屋対策会議の代表幹事の増田尚弁護士は、追い出し屋規正法(仮称)の制定等に向けた論点と課題について報告し、追い出し屋の違法行為を禁止するために、管理業・サブリース業者、家賃保証会社を含め脱法行為を許さない実行力のある規正法の制定を強く求めた。また、保証会社による家賃滞納者のデーターベース化の動きについては、「賃貸人や家賃保証会社の利益確保を優先し、社会的弱者・入居差別につながる」と強く批判した。
 被害事例の報告では、林治弁護士より横浜にある家賃保証会社のラインファクトリーの社員との電話による生々しいやりとりの録音が流され、「荷物の撤去は入居者の同意書があるからかまわない。警察は呼ばれたけど自分は捕まっていない。明日にも荷物を撤去するからその費用を請求する」と違法行為を開き直る様子が明らかにされた。

住宅差別のブラックリスト

 次に、追い出し屋被害全国一斉110番の結果について堀泰夫司法書士より大阪の事例が報告された。47件の相談について、被害者の大半は派遣やアルバイトなど不安定雇用で解雇や雇い止めにあった人で、経済的にも不安定で家賃の滞納もやむにやまれぬ事情も持つ人たちであることが強調された。
 追い出し屋問題は、業界側の弱者を民間賃貸住宅市場から締め出す家賃滞納者の個人信用情報のデーターベース化など巻き返しの動きがある一方、ようやく法規制に向けて動き出した。国会でも前原国土交通大臣が「法規制を検討中」と答弁し、国土交通省は家賃保証会社や管理会社等に対し許可制か登録制を検討している。許可制になれば、鍵の交換等不正行為があれば許可を取り消せるようになる。今後は、家賃滞納のブラックリスト化を止めさせることが急務となっている。




 

生協が借地セミナー

東借連役員が個別相談対応

住宅生協の借地セミナー
住宅生協の借地セミナー

 生協・消費者住宅センター主催の「借地セミナー」が11月27日午後1時15分から中野区の東京都生協連会館3階ホールで開催され,40名が参加した。
 第一部では、東借連の細谷事務局長が「借地の契約更新と更新料問題」と題して、45分にわたって講演した。細谷事務局長は、パワーポイントを使って、契約更新の仕組みと借地法の更新に関する条項を説明し、更新料に関しては契約書に次回の更新時に更新料を支払う旨の合意をしないよう注意を呼びかけた。
 次に、同センターの久保理事長が「借地権と増改築問題」について講演した。増改築の承諾料の適正額はどのくらいか、自由にできる工事の範囲について具体的に指摘した。
 第2部の個別相談では、14名の相談があり、東借連の役員6名が応対した。来年1月に契約の更新を迎え高額な更新料を請求されている等切実な相談が多かった。




地上げで頑張ってる

板橋区の借地人グループ

地上げ屋の面会強要に

警告書を玄関前に貼り出す

今借地が地上げ屋に狙われている(写真は記事とは関係ありません)
今借地が地上げ屋に狙われている(写真は記事とは関係ありません)

 5年前に、板橋区に住む鈴木さんたちのグループは、従前の地主が相続税の支払いのために関西の不動産会社に底地を売買してしまった。その後、買取った新地主の代理人と称する元地上げ屋との間で、地代の集金や底地の売買の話し合いなどでトラブルなどが生じた。底地を買取るか売って出て行くか二つのうちの一つを早急に選べと脅迫のような話し合いを強要され、警察を呼ぶなどの事件もおき、組合に入会した。
 組合は、その元地上げ業者に対して、「面会を強要した場合は、警察に通報し、それでも強要する行為をやめない場合は、法的手段をとる」と警告書を作成し、玄関に貼り出すとともに、内容証明書で地主に通知した。この警告書に対応し、相手の地主は弁護士を立ててきた。話し合いは、組合が窓口になって行い、地代の支払いについては銀行振込で合意し、売買の交渉は弁護士を通じて行うことになった。しかし、金額の面で折り合いがつかず、そのままとなり平穏な生活が戻った。
 今年、10月になってまた地主がかわり、新しい地主の代理人と称する関西の会社の社員が訪問して来た。組合では新地主であるという登記簿謄本や代理人であるという正式の委任状の提出までは話し合う必要がないことを通知した。今回の業者は、買えない人もいるので、買取を希望する人との間で話を詰めていきたいという一方で、借地人の皆さんとは売るか買うかで借地契約を解約したいと本音を出してきている。

更新ができない契約は無効
埼玉県蕨市

 埼玉県蕨市に住む加納さんは、16年前にこのマンションに入居した。7年前に息子が自殺したために迷惑をかけたのではないかの負い目があり、2年前の更新時に貸主が必要となった場合は更新がないという特約を結んだ。今月になって6ヶ月後に退去するよう言われた。しかし、明渡しには正当な事由が必要であり前回の特約も賃借人に不利な契約であり無効とし、引き続き住み続けることにした。




【借地借家相談室】

借地契約は契約書が無くても成立し
不利益な特約付き契約は拒否できる

(問)契約書を作らずに昭和25年から借地をしている。借地の更新は法定更新を選択し、契約を継続してきたが、先日、地主から突然内容証明郵便が送られてきた。「今後も借地契約書の作成に応じない場合は、借地契約を解除する。なお、本件土地の借地契約については、存続期間を定めなかったので、旧借地法に従い、平成22年に期間が満了するので、12月末日までに木造建物を収去して土地を明け渡せ」という趣旨のものであった。
 「平成22年が期間満了」という地主の主張は間違いだと思うのだが、また、今後も契約書作成に協力しなくても問題はないのか。
(答)借地契約は、口約束であっても立派に契約は成立する。契約書は、契約内容の証拠資料であって、契約の成立要件ではない。
 だが、貸主と借主の間で或る事柄について争いが生じた場合に双方が自分の主張が正しいことを証明しなければならない。今回のように賃借期間等で争いになった場合は、その契約内容を証明する証拠資料が契約書ということになる。契約書が無い場合は、契約書以外の資料で契約内容を立証することになる。例えば、証人、地代領収書、登記簿謄本、手紙・手帳・日記・家計簿の記述・記録等で証明することになる。
 今回の借地の契約内容で借地人側からの存続期間の立証は必要がない。なぜならば、地主の内容証明郵便の記述で《存続期間を定めなかった契約》ということが証明されているからだ。
 借地契約で借地権の存続期間を定めなかった場合は、借地法2条1項の規定で、借地権の存続期間は、堅固な建物については60年、その他の建物については30年と法定している。従って、木造建物であるから、昭和25年から昭和55年の30年間が借地契約の存続期間になる。
 そして、昭和55年に借地法6条1項の規定よって20年の存続期間で法定更新(第1回目)され、平成12年に再び、法定更新(第2回目)がされている。
 従って、借地契約は平成32年まで存続することになる。その後も、建物が存在する限り借地の更新は継続する。
 最後に、不利益な特約付契約書の作成を地主が要求しても借地人はそれに協力する義務はない。作成を拒否しても何ら問題は無い。




 

定期借家契約裁判で和解

大田区

 大田区南蒲田に所在する木造トタン葺2階建店舗兼共同住宅の内、階下正面左側店舗面積約4坪を平成17年12月に契約期間2年の定期建物賃貸借契約を締結した村木さんは契約締結の際に不動産業者から2年で終わりではないといわれていた。2年目の平成19年12月の期間満了になっても家賃は受領するので、このまま契約は継続されるものと思っていたら、平成20年9月に家賃を持参したら、家主代理人の仲介業者から期間満了しているのだから早めに建物を明渡すようにと村木さんは通告された。知人の紹介で組合に入会し頑張ることを決意し、家主の明渡予告通知を怠ったことを理由に明渡を拒否した。即刻、裁判となるが判決ではなく、和解の席で家主より家賃の30カ月分の補償金が提示されて、年明けの1月末に明渡すことでこの程合意した。村木さんは、家主側のミスで補償させることができたが、定期借家制度は家主の権利を保障する制度であり、「定期」という契約は拒むことが肝心である。




組合の催物とお知らせ

■城北借組「西武デパート相談会」
 1月13日(水)・14日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 1月15日(金)午後2時から城北法律事務所。相談者は要予約。
 「新年会」
 2月3日(水)午後6時30分から勤労福祉会館。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「定例法律相談会」
 1月9日(土)午後1時30分から組合事務所。担当は山口真美弁護士。相談者は要予約。
 「2010年新年交流会」
 1月16日(土)午後5時30分から日本海庄屋立川南駅前店。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター、担当西田穣弁護士。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。相談者は要予約。
■世田谷借組「相談会」
 毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■大田借組「新年会」
 1月23日(土)午後6時30分から大田区消費者生活センター。連絡・(3735)8481。


毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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