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東京借地借家人新聞


2008年8月15日
第497号

全借連加盟を決定

東借連第2回評議員会
来年の総会で規約を改正
首都の役割を発揮し、全国の牽引役に

東借連第2回評議員会で報告する細谷専務理事
東借連第2回評議員会で
報告する細谷専務理事

 東借連第2回評議員会が7月22日午後6時30分から豊島区東部区民事務所において開催された。
 評議員会では、報告事項のあと、@借地借家人をめぐる情勢の特徴A全借連加盟についてB夏季研修会の開催C組合の民主的運営と組織の拡大強化以上について討議した。

■耐震補強助成に地主承諾印
 討議事項では、借地借家人をめぐる情勢の特徴が討議され、荒川借組の生駒理事より「借地上の建物の耐震補強工事をするため区に助成を申請したら地主の承諾印がないと申請を受付けないといわれた」等の問題が指摘された。耐震改修工事は、耐震改修促進法の改正を受け各自治体で10年計画で耐震改修促進計画を立て実施しているもので、増改築ではない耐震補強工事まで地主の承諾を求めることは問題であり、今後各自治体の改修の要件を調査し、不当な要件を排除させることが議論された。また、初期費用を払えない若者をターゲットにした「ゼロゼロ物件」の借地借家法の脱法契約や不当な契約条項などに反対して立ち上がった借家人組合準備会とも連携を強めていくことが必要であるとの指摘もされた。

■3月末までに各組合が申告
 次に、全借連加盟問題が議論された。「東京がまとまって全国組織である全借連に加盟することは重要」、「東京と大阪など大都市が全借連運動を牽引する役割がある」等の発言もあり、評議員会として来年の東借連総会で規約第1条を改正し、正式に全借連に加盟することを決定した。
 なお、各組合の登録数については来年の3月末日までに各組合の財政状況を配慮し、自主申告とする。財政状況が改善次第、東借連の加盟登録数に一致させる。全借連未加盟組合に対して、加盟問題について意見・要望を求めることを確認した。




自由法曹団が保証会社で意見提出
公的保証制度の確立と法的規制を提言

 東借連では、4月に自由法曹団東京支部の幹事会に、連帯保証人に代わる賃貸保証会社の悪質な保証委託契約書の問題や野放し状態の保証会社の規制等の対応について申入れを行なった。
 7月11日に同支部より、「東京都生活基本計画改定素案」のパブリックコメントの中で賃貸保証会社について意見を提出し、東借連に意見が送られてきたので紹介する。
 意見では、賃貸保証会社と賃借人との賃貸保証契約は借主に著しく不利益であるとして3点にわたってその法的問題点を指摘している。
 (1)賃貸借契約は賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されたときに解除できるのが最高裁判例であり、諸般の事情を考慮して延滞賃料4ヶ月の場合に契約解除を認めなかった事例がある。1ヶ月の延滞賃料と14日間の音信不通のみで一時使用禁止、さらに2週間で契約を解除とするのは判例に反している。(2)賃借人が任意の明け渡しをしない場合に裁判もなく物件を使用禁止や契約の解除や残留物の撤去・処分、室内の立ち入りができるとするのは法の禁ずる実力行使、自力救済である。(3)消費者契約法10条の「消費者の義務を加重する消費者契約条項であって、民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」ものとして無効となる賃貸保証契約であると思われる。
 問題を解決するための提言として、「賃貸保証契約の内容が賃借人のために改善されなければならず、それが業界の自主的努力で行なわれない場合には、行政的な規制や法的規制が求められる。賃貸保証契約の運用面でも実効的な規制をすべである。一例として延滞賃料の取立てでは少なくとも消費者金融に準じる規制が必要である。さらには担当省庁を明確化することが重要である。さらには公的保証制度を確立していくことが方向として考えられる。これまでの自治体の賃貸保証会社の紹介の実態を検証し、そのあり方を見直す必要がある」している。最後に、根本的な住宅条件の改善が必要であるとして、「都営住宅の新築を再開し、大幅な新規建設が急務である」ことが強調されている。




地上げで頑張ってる
墨田区大平4丁目の12世帯

“土地売買が会社の方針”
組合を窓口に不動産業者と交渉

地上げ事件が起きた墨田区大平地域
地上げ事件が起きた墨田区大平地域

 墨田区大平4丁目の借地人12世帯が6月に地上げ問題で入会した。新しく地主になったのは東京都市開発株式会社で、7月3日に千代田区の本社に組合役員2名と地元代表1名が借地人一同から預かった地代を納めに行った。
 翌日の7月4日の同社の担当の新居氏より組合に話し合ってほしいとの連絡があり、7月11日に会談した。新居氏は「14日から測量に入るので皆さんの了解を得てほしい」、「うちは地代を頂くのが本業ではなく、土地の売買、つまり開発するのが会社の方針です」と主張した。
 さらに、ここの場合は特別といいながら「売買価格は北側が1坪75万円、南側1坪70万円、角地の皆さんは1坪75万円で考えています」、さらに「金利のこともありますので1日も早く処分したいので皆さんのご協力を」と30分にわたり一方的に話をして帰っていった。
 組合では7月23日に借地人一同全員に集まってもらい、東京都市開発との話の内容を知らせ協議した。売買については結論が出ず、今後アンケートをとって組合員の意見を組合で集約することにした。
 東京都市開発の社員は一部の借地人に「地代をいつまで払っているのか」連絡をしてくるなどの動きがあり苦情が出た。組合では新居氏に対し勝手に組合員を回らないよう注意し、「個々には連絡をしない」ことを約束させた。組合では「買えなければ無理に買取る必要はない」と説明し、借地人一同の意見を聞き、今後も粘り強く交渉していく予定でいる。




 

底地が不動産屋に売却
豊島区

豊島区上池袋附近
豊島区上池袋附近

 豊島区上池袋で借地している野島さんたちは、昨年、地主からいきなり「底地を不動産会社に売却した」と通知された。寝耳に水の通知でびっくりした野島さんは、地元の元区議会議員で借地借家人組合の役員の紹介で組合に入会した。その際、一人より二人、なるべく多くの方が一致して対処することが最も有効な対処であることを話され、同じ地主の借地人全員に組合を紹介し、全員が入会した。
 その後、一年あまり経過したが、この間、何回か地元の集会室などを借りて勉強会や相談会などを開催して、組合員相互の親睦を図りながら交渉してきた。買取の希望価格が業者の売買価格と一致した人も、全員が話しがつくまで、抜け駆けはしないと一致しがんばってきた。その結果、借地のままで買取りも売却もしないと言う借地人を除いて、当初、不動産会社が提示してきた金額を大幅に下回る金額・借地人の希望する金額で買取ることに合意した。




【借地借家相談室】

契約期間満了後に定期借家契約の
終了通知が届いた場合はどうなるのか

(問)平成16年8月1日から契約期間2年の定期借家契約を締結し、マンションに入居した。2年後、再契約をしないまま、貸主は、その後も毎月家賃は受領し続けた。平成19年12月になって定期建物賃貸借終了通知が送られて来た。内容は「平成20年6月30日で契約は終了しますので、期日までに建物の明渡しを完了して下さい」というものであった。貸主の要求に従わなければならないのか。

(答) 借地借家法38条4項は、1年以上の期間を定めた定期借家契約を期間満了により終了させるためには「期間の満了の1年前から6月前までの間(通知期間)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない」と規定している。ただし通知期間を経過した場合は終了通知をした日から6か月後に契約は終了するとなっている。法文上は「通知期間の経過後」とだけ定められ、通知期間の制限を定めていない。従って、通知期間を経過した場合の終了通知は期間満了後であっても6か月の猶予期間を経過すれば、賃貸人の好き勝手な日に契約を終了出来ると貸主は理解しているようである。しかし、終了通知は期間満了前にしなければならない。何故ならば、38条4項では終了通知は「期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知」となっており、期間満了前までに終了通知をすることは、法の趣旨からも当然である。定期借家契約は期間が満了すると確定的に契約が終了するものであり、従前の賃貸借が継続することは有り得ない。従前の賃貸借が継続するというのであれば、「期間の定めのない」定期借家契約ということになり、自己矛盾であり、更新がないという定期借家契約の趣旨に反するものである。
 また定期借家契約が成立するためには、38条1〜2項の法律要件を満たさなければならない。従って定期借家の再契約は期間の定めのある契約で更新しない契約であることを書面による説明と公正証書等の書面による契約が必要である。
 期間満了時に再契約の手続きをしないで、貸主が契約期間満了後も借家人から家賃を受領し続けている場合は、定期借家契約自体は終了し、民法619条の規定により期間の定めのない普通借家契約が成立する。




組合の催物とお知らせ

■城北借組 「西武デパート相談会」
 9月17日(水)・18日(木)午前11時〜午後5時(午後1時〜2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 9月19日(金)午後2時から城北法律事務所。担当田見高秀弁護士。相談者は要予約。
 「信州・木曽路の旅」
 8月31日(日)〜9月1日の1拍二日のバス旅行。連絡・(3982)7654。
■多摩借組 「我が家の耐震診断と耐震補強の学習会」
 9月20日(土)午後1時30分から国分寺労政会館第1会議室。講師は生協・消費者住宅センターの建築士他。参加無料。
 「定例法律相談」
 9月6日(土)午後1時30分から組合事務所。相談者は必ず予約。連絡・042(526)1094。
■江東借組 「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から亀戸カメリアプラザ(亀戸文化センター)。連絡・(3640)4694。
■葛飾借組 「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組 「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。要事前連絡。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。連絡・(3801)8697。
■世田谷借組 「相談会」
 毎月25日午後2時〜7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。
■北借組 「法律相談」
 9月3日(水)・17日(水)午後7時から赤羽会館。連絡・(3908)7270。





毎月1回15日発行一部200円/昭和50年5月21日第三種郵便物認可

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