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2023年9月15日 第667号


原状回復トラブルと国交省ガイドライン
全借連第1回オンライン学習会
経年劣化通常損耗は賃料に含まれている
特約は賃借人の明確な合意と理解が必要

原状回復トラブルと国交省のガイドラインをテーマに開催された全借連第1回オンライン学習会(8月21日)

 賃貸トラブルの中で、依然として多いのが賃貸住宅の退去時の原状回復問題です。国土交通省はトラブルの増加を受けて1998年3月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発表しましたがトラブルは減らず、平成27年には最高裁で「通常損耗に関する補修費用を賃借人負担の特約が成立していない」との画期的は判決が下り、改訂版からさらに再改定版を2011年に発表しました。同ガイドラインの再改定版をテーマに全借連第1回オンライン学習会を8月21日に開催しました。

 オンライン学習会は、開会に当たり田中祥晃会長は、「原状回復トラブルは請求額が15万円から20万円程度の請求が多く、弁護士に依頼すると費用が高くなり、泣き寝入りする人が多い。この面で組合の果たす役割は大きい。しっかりと学習しましょう」と挨拶しました。
 細谷紫朗事務局長がパワーポイントで作成したレジメに基づき報告しました。はじめに、ガイドラインに大きな影響を与えた平成17年12月16日の最高裁判決について解説し、この判決によって賃借人が通常使用によって生じた建物の損耗や劣化の修繕費用は賃料の中に含まれており、特約によって通常損耗費用を賃借人に負担させるには通常損耗の範囲が明確にされ、賃借人の明確な合意と理解がなければ認められないとされました。(ガイドライン事例24の判例)この判決に基づき、原状回復特約について3つの要件が課せられています。
 次にガイドラインでは原状回復について、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧する」と定義され、建物価値の減少と負担割合を3つに区分され、(1)経年劣化A、(2)通常損耗A、(3)賃借人の故意過失、善管注意義務違反Bに分け、賃借人の負担は(3)と通常の使用をしていても手入れ・管理が悪く、損耗が拡大している場合についてもA+Bとして賃借人の負担とされています。また、ガイドラインでは「経過年数」の考え方が取り入れられ、賃借人に原状回復義務がある場合でも、法人税法の減価償却資産の考え方が採用され、耐用年数経過時に1円まで償却できるとされています。建物や設備の経過年数が多いほど負担割合を減少させています。ガイドラインの別表1は損耗・毀損の事例区分、別表2では賃借人の原状回復義務がある場合の負担額の一覧が説明されました。最後に、ペットによる汚損や毀損、たばこのヤニの付着、保証会社の原状回復費の請求等の事例について意見交換しました。

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