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2022年3月15日 第649号

危険な賃貸契約のデジタル化
コロナ禍で加速されるDX化
誰のための利便性か
賃借人に不利な契約横行に

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WEB契約には落とし穴が一杯あり注意が必要です(レオパレス21のHPより)

 昨年5月に「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関す関する法律(デジタル改革関連法)」が自民・公明と一部野党の賛成で成立しました。デジタル化を促進するために順次法律が改正されようとしています。住宅の分野ではコロナ禍を契機にして、賃貸借契約と重要事項説明のIT化の動きが加速しています。今後、賃貸借契約の電子契約が全面解禁されると、賃貸トラブルが多発することが予想されます。

 東京都は「住宅マスタープラン」を1月に発表しました。「新たな日常に対応した住まい方の実現」の中で「デジタルを活用した利便性の向上」として、「不動産取引におけるオンラインによる重要事項説明や電磁的書面の交付など、消費者の利便性等を高めるデジタル化を支援していきます」と国に歩調を合わせてデジタル化を進めようとしています。

オンラインで重要事項説明

 電子契約の大まかな流れとしては、(1)PDF化した重要事項説明書及び契約書をアップロードする。(2)電子契約書類に不動産賃貸業者が電子契約をする。(3)入居者に電子契約書類をメールで送付する。(4)ビデオ会議システムを使って重要事項の説明をおこなう(IT重説)。(5)入居者が電子署名する。(6)電子契約書類をサーバー保管する。

電子契約は落とし穴がある

 電子契約が認められると、賃貸借契約書を書面で交付する義務がなくなり、各書面上に必須とされていたハンコも不要になります。電子契約書にサインするかパソコンかスマホに送られた電子メール契約書に承認のボタンをクリックするだけで契約が成立します。
 不動産業者に店に行かなくても契約ができる、物件の説明や重要事項説明もオンラインでできるので便利だと言われていますが、果たして本当でしょうか。本紙1月号でも報道した東北出身で東京に就職するために東京都内の物件を借りるために、部屋の間取りなどは写真と動画だけを見て、ネットで契約し、いざカギをもらって入居したら部屋は汚れとカビで生活できず、実は事故物件でした。解約したら業者から解約違約金を請求され、入居時の契約金も返金されないという被害が発生しています。
 更新契約書がスマホにメールで送られ、承認したら家賃が増額されていたという相談も組合に寄せられています。

デジタル化で不利な契約が

 賃借人は法律知識に乏しく、不利な賃貸借契約が横行しています。全借連としては安易なデジタル化には反対です。紙の契約書を要求した場合には紙での契約ができるようにさせましょう。

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